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ドイツ・イデオロギー

ドイツ・イデオロギー
マルクス・エンゲルス(著) 廣松渉(訳)
岩波文庫


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私の著書「稼ぐ超思考法」は、この「ドイツ・イデオロギー」の引用で終わる。

そして、この本で引用したのは、真下信一さんの訳。しかし、真下訳は中古じゃないと手に入らないので、岩波文庫版でご紹介。

「ドイツ・イデオロギー」に限らず、訳には複数あって、それぞれがそれぞれに賛否両論を呼ぶと言うのは古典によくある話。さらに、この本の場合は原語で刊行されたものも4種類。
私は専門家ではないので、その複雑な刊行過程に興味は無いけど、かなり様相は複雑らしい。

この岩波文庫版は、4つの版を統合したような形で過去に出された廣松渉編訳をさらに再編集したものらしい。

そして、そのいろいろな著作者の試行錯誤や訳者の編集錯誤をそのまま本にしているので、やたらわかりにくい代物に出来上がっている。

でぇ、そんなわかりずらいものをお勧めする意義は、「こういうものも本なのよ!」と言いたいことに尽きて、さらに、「古典だからといって、何も最初から丁寧に読む必要なんてないのさ!」という点。

そういう点で、この本は、先に解説を読むことをお勧めしましょう。
そして、解説にある諸作(たとえば、「キリスト教の本質」)も機会があったら読むことをお勧めしましょう。

現在、神様を信じている人って、某大手コンサル会社の会長(?)の影響で明らかに増えておりますが、1840年頃の気分はそうした現在とは対極の気分にあったあたりは面白いところ。

結局、精神世界的なものや神様に対する感触は時代時代で違います。決して、私たちが今持つ気分は正解ではなさそうだ・・と思えるでしょう(ここは重要)。

マルクスとかエンゲルスというと共産主義の文脈で考えてしまう傾向があるけれど、一度そういう枠をはずして見れば、なかなか現在にも通用する面白いことを言っているので、断片的に眺めるのでも十分楽しめるでしょう。

まぁ、それはそれとして、昔の一部の人間は、時代を大きな塊で考えていたみたいで、今に生きる私たちの矮小性というのを思い知りますな。

先人の試行錯誤の上にうたた寝をする私たちが矮小的なのは仕方ないかもしれないけどね!

さて、うたた寝と思考省略の人生はいつまで可能なのか?
そんなことも考えながら、昔の人のまじめさに触れてみましょう。

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