■2014年6月17日 第457号

1.TAROの独り言
2.どうして、こんなに予言的?
・・・囚われの身
3.まーけ塾レポート
・・・(9)地政学 再び 
4.Q&A
・・・ホワイト企業
5.しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
・・・『Nas』
6.砂漠の中から本を探す
・・・『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』
7.TAROの迷い言

 
 

■囚われの身

(注)今回は、少々読みずらいかもしれません・・。


You can check out any time you like,
but you can never leave.

あなたはいつでもお好きな時にチェックアウトできます。
でも、ここから逃げ出すことは決してできません。 

イーグルス『ホテルカリフォルニア』より


中学3年生の時、イーグルス『ホテルカルフォルニア』が発売された。
ベース音が鳴り響くAORの初体験。
ロック小僧のハートにも、その音は届いた。
ロック小僧は、AORの音に浸り、少し大人になった気分を味わった。

しかし、子供にはそこまでしかわからない。
ジョー・ウォルシュのギターソロの音は届いても、曲の真意は伝わらない。

この曲の詩は、当初から話題になった。
ワインを求める客に、バーテンが「1969年以来スピリッツ(魂)はここには置いていない」と答えるシーンは有名だ。
子供の私でも、アメリカの西海岸発のカウンターカルチャーの精神が失われたことを指摘していることくらいはわかった。

だが、そこまで。
この曲にもっと重要な本質が隠れているとは、52歳になって久しぶりに再聴するまでわからなかった・・。

現在、日本政府は、実現不可能な高い成長目標を掲げ、追加財政や金融緩和を行っている。そして、公的債務は膨張している。
人口オーナスが前提の今の経済下で、“不都合な真実”に目をつむる。
だから、社会保険の改革さえままならない。
議会制民主主義は人口オーナス問題を初めて経験する。

しかし、その事実をそのまま認め対応することはなく、引き返すことのできないアベノミクスという船出をしてしまった。
「あなたはいつでもお好きな時にチェックアウトできます。でも、ここから逃げ出すことは決してできません」
という環境下で、それでも解を見つけようとしている人の行動なのかどうかはわからない。
ただ、円もドルもユーロも信用出来ないというのは、今のところの事実で、よほどのウルトラCが成功しない限り死なばもろとも・・という状況にある。

確かに、チェックアウトは可能だ。
しかし、やっぱり、ここから逃げ出すことはできない。
私たちに選択肢はない。 

『ホテルカルフォニア』は次のようにも歌う。

Mirrors on the ceiling,
The pink champagne on ice
And she said “We are all just prisoners here, of our own device”
And in the master's chambers,
They gathered for the feast
They stab it with their steely knives,
But they just can't kill the beast

天井は鏡が張りつめてあり
氷で冷やされたピンクのシャンペン
彼女は言った
「ここにいるのは、自分の企みのために囚われの身となってしまった人たちばかり」

ピンクのドンペリを氷で冷やして飲もうとは思わない。私たちはそういうつもりでいる。しかし、実際は、そんなことを毎日やっている。
鏡の天井を仰ぎ見れば、さぞかし醜い姿が映っていることだろう。

私たちは、どうしてピンドンを氷で冷やして飲むのか?

ちゃんと冷やそうとしたら大変だからだ。
そんなことをするよりも、すぐに飲みたいのだ。
そして、そのために、囚われの身になっている。
日本政府同様に、“不都合な真実”は見ない。見る必要もない。

そして、「あなたはいつでもお好きな時にチェックアウトできます。でも、ここから逃げ出すことは決してできません」という状況を自分で作っている。

ビジネス書は、ノウハウ本でいっぱいだ。
「秒速で1億稼ぐ・・」などということは恥ずかしくて言えない・・という美的感覚もどこへやら、著者も編集者も出版社も、売れればなんでもいいと思っている。
つまり、消費者をバカにしているのだ。

しかし、消費者をバカにしても問題はない。
消費者は、ピンドンのようなものを氷で冷やして出されても何とも思わない。
だから、アマチュアでも商売ができるという不思議な時代が続いた。

しかし、そうした消費者に甘えることは、「自分の企みのために囚われの身」となることだ。
人は一度楽をしたら、苦労はできない。
そして、消費者がピンドンを氷で冷やして飲まなくなった段階ですべてが終わる。

日本政府は、“不都合な真実”を見ない。
議会制民主主義に、そんなことはできない。
議会制民主主義もアマチュアの巣窟だ。

過去の日本でも、議会制民主主義の危機があった。
国会議員、官僚は暗殺を恐れ、民主主義を捨てていった時代だ。
当時、この国は、戦争に突入した。

今は、暗殺はない。
しかし、イジメがあちこちで跋扈する。
誰でも簡単にイジメの対象になる。
だから、今も誰も動かない。
安倍晋三はあまり好きではない。ずいぶん思考に問題もあると思う。でも動くだけ彼はマシだ。
しかし、あーいうのしか動かない・・というのは問題かもしれない。

国会議員はイジメが怖い。
芸能人もイジメが怖い。
だから「自分の企みのために囚われの身」となる。

私たちは、売上が落ちるのが怖い。
これが“一応”一番の恐怖だ。
実は、落としてみればいいのだが、それができない。
だから、「自分の企みのために囚われの身」となっている。

今考えるべきことは、質の悪い売上をやめることだ。
すぐにやめなくてもいい(それは仕方がない)。
しかし、やめる検討に入るべきだ。
そして、足りない部分を、埋める。本当の仕事で・・。

それが唯一チェックアウトをし、さらに、ここから逃げ出す方法だ。
「自分の企みのために囚われの身」になることから開放される瞬間だ。

難しい局面がやってきたものだ・・。

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