■2015年3月17日 第497号

目次
  1. TAROの独り言
  2. どうして、こんなに予言的?
    ・・・最も不足しているもの
  3. まーけ塾レポート
    ・・・3.コカ・コーラの低迷
  4. Q&A
    ・・・娘が引きもこり
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『ロバート・フロスト』 
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『日本の「運命」について語ろう』 
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『忌野清志郎 ロックン・ロール・ショー The FILM 〜♯1入門編〜』
  8. TAROの迷い言
 
 

■最も不足しているもの

たくさんの人類が住む世の中での鉄則は、案外、シンプルだ。

たくさんあるものは、価値が低く。
あまりないものは、価値が高い。

昔は、大稼ぎができたAV女優も今は昔。
今では、志望者多数で、稼ぎも少ない。大当たりがない限りは、普通のバイトの方がいい。

・・・それに気づいて、風俗の面接を受けても、ここでも競争者多数。
今は、飲食、ファッション業界という昔からの副業者に加えて介護業界の参入があり、面接も厳しいうえに、採用されても誰もが稼げる世界ではなくなっている。

そもそも、ホームページを作って比較的簡単にはじめられるデリバリー系の風俗は、新規参入が相次ぎ、それはそれは厳しい世界らしい。

最近のアイドルは、みんな似たような顔に見えると同時に、「テレビのあんたより、俺の近くにもっとかわいい娘いるよ!」というのが普通。
美人とか、かわいい子というのも巷に溢れている。

何かの本で、お笑い芸人志望の人が、あまりにも多くの参入者の存在に現実を見てしまってライターに転身したという話を読んだ。
でも、ライターなんてすぐにはじめられる。だから相当数の食えない人達がいるはずで、この人はそこら辺の思考を変えないと苦労が続くことだろう。

風俗とかお笑い・・は当たり前だよーと思った人も、弁護士や公認会計士が大量の食べられない人で溢れていることはご存知だろう。
あれだけ、試験に受かるためのノウハウを売る専門学校が乱立してしまえば、当然の話。試験は年々難しくなっているというのに、努力がまったく実らないなんてかわいそうな話だが、そもそも“たくさんあるもの”に向かったのだから当然の帰結。

自衛隊の人気がすごいらしい。
建築現場などで、重機を運転できる人が不足していて、その受け皿になっているそうだ。もちろん高給。足りないのだから、当たり前である。

昨年。ある人からコアという材料でできているギターを弾かせてもらった。
これがいい音なのである・・。
主にウクレレに使われる材料だが、この材料をギターに使う。そこまでは流用・・という話でしかないけれど、この材料があまりないらしい。
ウクレレは小さいのでまだいいけれど、ギターを何台も作るのは、面倒らしい。

・・そんなことを知らずに、インターネットや都内楽器屋でコアのギターを探せども、ない。とにかくない。検索などにひっかかってきても、「sold out」の文字。
それから数カ月後、なんとか手にはいれたものの高かった。あまりないのだから、当然である。

パナソニック製の卓上カセットテープレコーダーが、amazonで法外な価格がついていた。とても、買えない。ネットなどで調べると、このカセットテープレコーダーを探している人はそれなりにいるようだ。
すでに生産中止。2年前に製造した時に買っておけばよかった・・と後悔しきり。
そんなに作っていなかったうえに、製造中止では、どうにもならない。
どんなに便利な世の中でも手に入らないものは手に入らない。

私を含めて日本人はバカになっている。
理由は、簡単。豊かだからだ。
どうも歴史は繰り返すらしい。
『歴史序説』のイブン・ハルドゥーンの警告など誰も聞く耳を持たないから、その行方は見えている。

子供の教育を考える時、私たちは、その置かれている環境に唖然とする。
あまりにも恵まれた環境にある子どもたちには、「あーせい」「こーせい」の言葉は逆立ちしても届かない。

誰もが、厳しい環境に置けばいいことはわかっている。
しかし、そんな理屈は現実の前ではまったく意味をなさない。
豊かなものは豊かなのだ。

あらゆるものが豊富にあり、簡単に手に入る。
ほとんどの物が翌日に届くという環境である。24時間365日風呂で歌を歌っているような環境だ。

だから、現在、この日本で最も不足しているものは、皮肉にも、飢餓だ。

おかしな表現になるが、飢餓の価値が一番高いのである。
「厳しい環境・・」などと理屈だけを言っている場合ではない。
私たちは、多くの人が気づかぬうちに、この価値の高いものを手に入れなければならない。

このことに意識的な一人が村上春樹だ。


いちばん重要なことは、お金があってもなくても、自分の魂をどこまで「飢えた状態」においておけるかということだと思います。

(村上 春樹)

飢餓などと‥・大げさな表現をしてしまったが、「差し迫った状況」を作ること。このことに意識的でなければならない。

自分を追い立てるシステムを作るのである。
私は15年近く自分を追い立てる苛酷なシステムの中で生活してきたが、人間というのは対応力が高くて、どんどん仕事が上手になっていく。
最初は辛いけれど、数年経って振り返ってみると、結構なことになっていて驚くことになる。

私が、自分を追い立てるシステムを作ったのは、偶然だ。
単に、稼ぎたかったのである。
当初は、お金がほしいから無理して頑張ったのだ。
ただ、頑張ったのではなく、かなり背伸びして頑張っているうちに、その背伸びが当たり前になり、そしてシステム化していった。

手段は目的化する。
この現象は、本来は悪いことであるが、お金を稼ぐための手段が目的化すると、とんでもない事が起こる。
昔の偉人が「お金は後からついてくる」などと嘘のような本当のことを言うけれど、これはおそらく本当だ。
手段が目的化すると、それが起こる。
本多静六も「仕事を目的化せよ!」と言っているが、そうなのだ。

ただし、ただ目的化してもダメである。
世の中は、みんなでやると価値が落ちるわけだから、ただ仕事をしていてもダメで、お金を目的にして一生懸命働いていても、それは普通すぎるのである。

飢えていないとダメなのだ。
だから、飢えるほどに仕事が好きじゃないといけない・・ってこと。

顧客ロイヤリティーなんて言葉使っていると死んでしまうということであり、「お客さんが好きで好きでしょうがない・・」と言っていたら、いい感じ・・ということかもしれない。

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