2016年12月27日 第592号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. TAROくんの独り言拡大版
    ・・・人の運命はわからないけど…
  3. まーけ塾レポート
    ・・・5. アマゾンの次
  4. Q&A
    ・・・フォトリーディングセミナー
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『松永 安左エ門
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『物欲なき世界』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『この世界の片隅に』
  8. TAROの迷い言
2. TAROくんの独り言拡大版

■ 人の運命はわからないけど…

新卒で入社し、約13年勤めた社員が起業のため退社しました。

ここ数年、我が社では起業のための退社が続いています。
もう片手くらいがいなくなっています。
その後の付き合いは様々で、今も時々遊びに来る者、仕事で関わっている者、裏切り行為から縁が切れている者・・・と、当社もご多分に漏れず、いろいろなケースがあります。

先般、彼の送別会がありました。
会の終わりには、送別会のお約束である花束と記念品が渡されましたが、私は少し違和感を覚えました。
そして、その違和感を送別の言葉として彼に贈りました。
以下、その時思いつきで話したことです。


花と江戸切子ね・・・・・・。
本人が希望した品だそうだけど、
正直こういう表面的な取り繕いってどうなのかなー?
とボクは思います。

ボクも23年前に会社を辞めたわけですが、
当時、もっと貪欲だった・・と思うんです。
退職が発表されて、ボクが会社内ですぐにやったことは
金集めでした。
当時、同じ建物にいた同期2人の名前を借りて、
「岡本君に、カンパのお願い」という文章を書きました。

内容は忘れたけど、
「これから一人で旅立つ岡本君に・・」
みたいな内容だったと思います。
その時、ワープロって便利だなーと思いました。
まさか誰も本人が書いているとは思いませんもんね。
こうして、40~50万円のお金を手にしたと思います。
当時のボクには大金であり、最初の稼ぎです。
当時借りた狭いオフィスの家賃は5万円以下でしたから、
家賃の一年分くらいは出た計算です。

ところで、この時のボクの気分を考えてみて下さい。
苦しいか、楽しいか?
言うまでもなく、楽しいですよね。
もう、楽しくて仕方なかった・・と記憶しています。

そして、正式に退職をし、ひとりぼっちになったわけですが、
やっぱり楽しかったですよね。
とにかく毎日が楽しいのです。
結局、ボクは今日まで「岡本君に、カンパのお願い」の文章を
書き続けてきたんだと思います。
仕事をはじめてみると、思うようにいかないことだらけです。
でも、苦労も悔しさも、どれもが工夫のための糧だったと
思います。

今、ボクは一つの場面を思い出しています。
それは、人事課の担当者と二人で寿司を食べているシーンです。
あの時は、とても寂しかったですね。
去る者に組織は冷たいものだと痛感しましたし、
それはそれでいいと思いました。
それと比べると、今日は楽しげです。
みんなが祝ってくれている。
でも、こんなんでいいのかなー?と思えてきます。

成功・・・という言葉があります。
それは何をもって言うのかはとても難しいところですが、
それでも自分の状況は居心地が良いものか、そうではないか・・客観的に見れば誰にでもわかるところです。
それを今成功と表現しておけば、
やっぱり成功って泥縄的なものです。
別に優秀だから成功するわけじゃない。
実力とも関係ありません。
計算づくでやるなんて無理です。
だから、ボクも、今日までこうしてこれたのは奇跡だな~と
思っています。

でも思うんです。
ボクが今こうしてあるのは、「岡本君に、カンパのお願い」の
文章を書くような男だったからだと・・・。

それと、後2つあります。
一つは、昔の職場のリソースで仕事をしないと決めたこと。
そのため、当時、仕事でお世話になった方々へのご挨拶は
不十分になってしまいましたが、これだけは頑なに守りました。
みなさんも、辞めた奴が周辺でウロウロしてるのって
イヤでしょ。
でも、逆のことをする人の方が多いかもしれません。
実際、当社を辞めた人の中にも、そういう人が2人ほどいました(一人は辞め際での暗躍で、みっともなかったですよね)。

実は、私の前の会社の後輩にもそういう人がいます。
当社の裏切り者達(笑)とは違って、仁義を通して公認という形で補完的な仕事を行っていましたから、とてもまともだったのですが、ある失言をきっかけに干されてしまい、今は仕事もせずに家で過ごしているという噂です。
とても優秀なやつで、個人的にも仲が良かったですから残念に
思いますが、仕方がありません。
そして、彼はスタートアップ時に過去のリソースに頼ったため、嵐の中で工夫をするという力がなくなってしまっていたのです。

もう一つは、失業保険をもらわなかったことです(笑)。
手続きすればもらえますし、バレることもなかった。
そして、喉から手が出るほどに欲しかった。
仕事を辞めてから数ヶ月は、職安の前を通ると、
入るかどうか少しだけ悩みました(笑)。
スタート時をウソからはじめちゃいけないと思ってそうした
わけですが、これって結構重要なことだったと思います。
そして、「こういう地味なことが運命を決めていく」と
何の根拠もないですが思っています。

結論です。
人の運命はわかりません。
何が運命を決めるのかも、定かではありません。
実力でも、頭の良さでも、誠実さでもない。
でも、何かある。
それも間違いない。
そして、もしあるとしたら、自分の場合は、
今挙げた3つが積になっているのではないかと感じます。


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