2018年10月9日 第689号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. コブラツイストは、ツボに効く
    ・・・白やぎさん
  3. まーけ塾レポート
    ・・・6. ホットハウス現象
  4. Q&A
    ・・・見えなくなってるもの
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『エドウィン・キャットムル』 
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『東京「スリバチ」地形散歩』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『きみの鳥はうたえる』
  8. TAROの迷い言
2. コブラツイストは、ツボに効く

■偶然は、偶然だ

『白やぎさん』の童謡が昔から大好きで仕方がない・・・。
ネットで、正式名を調べたら『やぎさんゆうびん』(作詞:まど・みちお)とあった。

『ぞうさん』の“まど・みちお”ではないか!
んーー、この人は、侮れない・・・・・・。

では、まずは一緒に、詩を読みましょう。歌っても構いません。


白やぎさんからお手紙着いた
黒やぎさんたら読まずに食べた
仕方がないのでお手紙書いた
さっきの手紙のご用事なあに


黒やぎさんからお手紙着いた
白やぎさんたら読まずに食べた
仕方がないのでお手紙書いた
さっきの手紙のご用事なあに

誰もが気付くことと思うが、この詩のすごいところは、
無限ループするところだ。
3番を歌うとすれば、1番をそのまま歌えばいい。それで成立する。

仮に、3番で、黒やぎさんが「食べずに読んだ」ことにしてもいい。
こうなる。


白やぎさんからお手紙着いた
黒やぎさんたら食べずに読んだ
手紙を読んだら書いてあった
さっきの手紙のご用事なあに

そうすると 黒やぎさんは答える。
「さっきの手紙のご用事なあに」
だから、4番があるとするとこうなる。


黒やぎさんからお手紙着いた
白やぎさんたら食べずに読んだ
手紙を読んだら書いてあった
さっきの手紙のご用事なあに

やっぱり、無限ループは続く・・・・・・・・。

そこまで計算してはいないだろうけど、結果的にそうなっている。
そこがすごい!!

そして、オカモトは56歳になっても、この歌を歌っている。
それはかなり変だが、そこまで偏愛したくなる詩だ。

おそらく、子どもの頃に出会って、今でも偏愛やまない詩って、
誰にでもあると思う。
そして、それは、その人の性格をかなり強く反映しているのではないだろうか。
もし、「そんな偏愛するような詩がない」と言う人がいれば、
それもその人の大きな特徴だと思う。
でも、そんな人はいないはずだ。童謡に限らず、
歌謡曲とかロックのような流行歌の影響は誰しも受けているはずだ。

私事だが、影響を受けた詩は多い。
例えば、小学校6年生の時に聞いたコレとかアレ。

『人は生れて』(作詞:堀内護)

人は生れて生きようとする

・・・・・・

手をのばし何かにさわっていたい
その手のふるえるのがやむまで

・・・・・・・

『人生が二度あれば』(作詞:井上陽水)

・・・・・・・

父と母がこたつで お茶を飲み
若い頃の事を話し合う

想い出してる
夢見るように夢見るように

人生が二度あれば この人生が二度あれば

・・・・・・

小学校6年生の時に埋め込まれたこの種は、
実存主義に向かって伸びた。
それだけではない。
生き方そのものにも影響したと思われる。

『青空のマリー』(作詞:サエキけんぞう)

・・・・・・

Thursday 誘い出して 海までドライブ
誰も見てない ぼくたち二人がまん出来ない はやくしようよ

Blue 外は青空だよ マリー
Blue じらしたらやだよ マリー

金曜の夜 はじめてのキッス
土曜日の朝 マリーの部屋で

Blue 外は青空だよ マリー
Blue 外はもう朝だよ マリー
Blue 外は正月みたいな空
Blue 気持ちは真夏の空

・・・・・・・

この曲の“正月みたいな空”という表現の影響は、
あまりにもあまりにも絶大で、私が書くものの奥に、常にある。

・・・と、こんなことを書き連ねていたら、
500ページ以上の本が1冊できあがることだろう。
その本は、『自省録』(マルクス・アウレリウス)の数ページ、
そして、『女たちよ!』(伊丹十三)の「まえがき」と
うり二つになってしまうのは、もちろんだ。

私は、それをやってみたい。
仕事がなくなって時間ができたら、
世界一周でもしながらやってみたい。
私という謎の全てを解明することは不可能だが、この500ページの本が書けたなら、かなりの謎が解けるように思う。

ということは、「時間ができたら」ではうまくないということか・・・。今すぐやるべきだ。

そのことに気付いたので、早々にやらねばなるまい。

おそらく、一番最初は『ザ・ドリフターズ全員集合』というLP。
あのザ・ドリフターズの1stアルバム。
私は、このレコードを小学校2年生の時にどれだけ聞いたことか。
そして、収録されているコントの一部は今でも覚えている。

私が時々ブログで書いていた昭和軽薄体風のダラダラ文章は、
椎名誠や嵐山光三郎の影響ではない。このレコードに入っている
コントの影響だ・・・ってことがわかってしまった。

心理学方面では、いろいろな角度からの自己分析が開発されているが、今私が書いたことにフォーカスしているものはないように思う。もったいない話だ。

私たちの頭の中では、夢中になった詩やコントが、
今も無限ループしている。
さっきの仕業(しわざ)の元ネタなーに!

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