2019年5月14日 第721号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. コブラツイストは、ツボに効く
    ・・・計画をからかう
  3. まーけ塾レポート
    ・・・【第2週】1.セブン-イレブンの収支
  4. Q&A
    ・・・働き方改革
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『山極 寿一』 
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『ファクトフルネス』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『ブラック・クランズマン』
  8. TAROの迷い言
1. TAROの独り言

バンド練習でスタジオにこもっていたら、
タバコを吸いに行ったベースが「菅田将暉がいるぞー」と
帰ってくる。

すぐにスタジオを出て見に行く。

(TAROの迷い言へ続く)

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2. コブラツイストは、ツボに効く

■計画をからかう

ウォルマートの創業者サム・ウォルトンの奥さんが、
「メンフィスになんて引っ越したくない!!」と言わなかったら、
今のウォルマートはあるのだろうか?

この手の疑問はいくらでも浮かぶ。

レイモンド・ジョーンズという青年が、
「ビートルズのレコードはありますか?」とブライアン・エプスタイン(後のマネージャー)が経営する『ネムズ』(レコード店)を
訪れなければ、ビートルズはこの世に存在しなかったのか?

1914年に、フランツ・フェルディナントがサラエボにノコノコ
出掛けなかったら、第一次世界大戦は起こらなかったのか?

私は、過去の本にこんな2つの疑問を書いた。

ちなみに、サム・ウォルトンは奥さんの言うことを聞いた。
そして、2号店をアーカンソーの1号店の近くに出した。
これにより、彼は今で言うドミナント戦略の効率性に気付いた上に、競争回避のメリットにも気付いた。

大型店を小さな町に集中的に出すなんて、効率が悪い。
誰もがそう考える。もちろん、サム・ウォルトンもそう考えた。
だから、彼だってそんな計画は立ててもいなかった。

奥さんが反対しただけ。
それだけである

計画って何でしょう?

そういえば、ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインは、きっちりとした計画のもとに、ジェリー&ザ・ペイスメイカーズというバンドを売り出す。
彼らは、当初ビートルズが歌うはずの曲『How Do You Do It?』でデビューし、全英No.1ヒットを獲得。そして、デビューから3曲が1位という快挙を成し遂げる。
でも、今では彼らのことは一部の音楽好きしか知らない・・・。

このことも本に書きました。

みんな計画が好きだ。
そして、線形計画を立てる。

世の中では、計画されていないことが大きく化けて、
計画されたことは失速していくというのに・・・・。
『カメラを止めるな』が大当たりし、『ジュラシック・パーク』の
新作は失速するのである。

しかし、多くの人は計画を求められ、夢を語らされている。
「ヒーローになるつもりなら、夢という言葉は決して使うな」(@黒川伊保子) というのは少数意見で、「夢を日記に!」と言っている国会議員の方が圧倒的に目立っていて、若者たちは、
「5年間のキャリアを計画しましょう」と指導されたりしている。
そういう計画の全てがダメとは私も思わないが、
ほとんどはダメである。
国会議員の日記の夢は、たまたま状況が味方をしただけだ。

私たちは、自然の中で生きている。

自然には4つの特徴がある。
・画一的ではない
・従順ではない
・直線ではない
・フィードバックが大きい

こんな特徴を持つ自然の中で生きながら、線形計画を立てるのだ。
どう考えても、時間のムダでしかない。
しかし、成功は目立つ。
それも、あらかじめ計画されたことが実現した・・・というのは
カッコいい。
そこで、物語が作られる。

サム・ウォルトンは、奥さんに怒られることなんてまったくなかったのだ。
そして、当初から、競争回避のドミナント戦略を意図したことになるのであった。メデタシ。メデタシ。

だから、私は国会議員の日記も、彼のことを書いた提灯小説(作:高杉良)も信用していない。

偉大なる自然に対して、
・画一的で
・従順で
・直線で
・フィードバックがない
前提で、計画を立てる。
これを、あり得ない行為と言わずに何と言おうか?
私たちは、偉大なる自然環境に生きている・・・・・。

そして、人も同じだ。
だから、人を
・画一的で
・従順で
・直線で
・フィードバックがない
前提で、組織を作ればうまくいく訳はない。自明である。

ところで、それならば何の計画もいらないのか?
もちろんそうではない。
登山に行くときは、地図を眺め、地形を頭に入れておくことは当然のこと。それがなければ、突然の事件に対処などできる訳はない。
だから、フランツ・フェルディナントは、どう考えたってアホなのである。

自然の中では、小心者が勝つ。
準備を怠らないからだ。
度胸のあるやつが活躍するときもあるが、そんなことはあまりない。
フランツ・フェルディナントのある種の鈍感さに、
神はほほ笑む訳がないのだ。

しかしである。
過去に本でも引用した小林秀雄の次の言葉は、
もっと見逃せないことだと思う。


人はさまざまな可能性を抱いてこの世に生まれてくる。
彼は科学者にもなれたろう、軍人にもなれたろう、小説家にもなれたろう、しかし、彼は彼以外のものにはなれなかった。
これは驚くべき事実である。


いずれにしても、サム・ウォルトンは成功し、
ビートルズはデビューし、やはり成功したはずだ。
そして、フランツ・フェルディナントはいずれ殺された。
これも一つの真実だと思う。

では、夢を日記に書いた国会議員を含め、サム・ウォルトンや
ビートルズには、どうして神がほほ笑んだのだろうか?

この件については、過去に少し書いた。
彼らは、トレードオフに逆らわなかった。
必ず、何かを捨てながら何かを得ていった。
オムレツを食べるために、一生懸命タマゴを割ったのだ。

ただ、それだけ?

私は、かなり強く、そう思うよ。

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3. まーけ塾レポート

【第2週】1.セブン-イレブンの収支

新潟の税理士事務所を手放してしまったので、最近、コンビニの決算がどうなっているのか、少し疎くなっていました。

そのため、『週刊ダイヤモンド』2019.04.06号の
月間売上高1800万円のセブン-イレブン店舗の平均的な収支に衝撃を受けました。

月間1800万円平均のコンビニというのは、全体から見て
悪いコンビニではありません。
平均よりもちょっと良いくらいだと思います。
勝ち組・負け組・・・という表現を使えば、
「どっちかというと、勝ちの方」と言えたはずです。
ところが、人件費の上昇によって「食えない経営」になっていたん
ですね。

例えばセブン-イレブンの場合、コンビニ本部は、粗利の56~76%をロイヤリティーとして持っていきます。
人件費が上がっても、この本部ロイヤリティーがそのまま・・・
ということになれば、やっていけない店舗が続出することは目に
見えています。

昨年2月に行った『戦略セミナー2020』では、生物学で使われる
『K値』を紹介しました。そして、『まーけ塾』では、コンビニの
『K値』超えを観察してきました。

動きは早くて、昨年春には『K値』超えを確認。
コンビニ地獄時代を3つの面から指摘していたのですが、
動きはどんどん早まっていますね。

今回の24時間営業問題で、
あらゆる「心配」が一気に噴き上がることになりそうです。

このコンビニのお話、人ごとではないですよ。
かなり使える話ですので、よーく考えてみましょう。

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4. Q&A

Q.

やる気のある社員の成長を本気で願うと、
人一倍がむしゃらに働く時期が必要だと思っています。
そのため、全てについて否定的ではないのですが、「働き方改革」が社員の成長を阻む要因になってしまうのではないかと思います。
岡本先生は「働き方改革」についてどう思いますか。

A.

ご質問ありがとうございます。

あれは、国家をあげての順法闘争ですよ。
この国では、共産主義が勝ったんです。

なお、この件については、原稿を書いています。
配信は6月の予定です。
読んでみてください。

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5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉

世界は今、多くの敵意に満ちている。

(山極 寿一)

別に政治の話ではない。
最近の人間は、敵意がないと生きていられないのだと思う。

山極さんの『ゴリラからの警告』は、その理由の一部を
明らかにしている。

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6. 砂漠の中から本を探す

『ファクトフルネス』

ファクトフルネス
ハンス・ロスリング(著) 他
日経BP社

100万部超えだそうだ。私には、それがわからない。
この本に見るものは何もない。
いや、言い方を変えよう。新しい知見など何もない。
もちろん、著者の経験から書かれている・・・という点に
意味がなくはない(かもしれない・・・)。
でも、まったく新しくないことを今さら声高に語られても・・・
と思う。
切り口が斬新。一応そういうことになるのだろう。

この本を見ていて、昔々、『7つの習慣』がベストセラーになった時のことを思い出した。
7つの習慣』は、当時、パラパラとめくっただけで吐き気がした。
読んでみてもその印象は変わらず、
単に切り口を変えただけの駄本と了解した。
しかし、周辺に批判者は私だけ。
著者が本質的なこともわからずに、どこかから持ってきた知識を
並べて偉そうなことを言っていることに、どうしてみんなが、
それも日本人が気付かないのかが謎だった。

しかし、『7つの習慣』のブームはその後大きくなって、
今では定着。セミナーもあるらしい。
つまらないことである・・・・・・。

ただし、『ファクトフルネス』 は、『7つの習慣』のような
ふざけた本と一緒にしてはいけない。
切り口以外新しくない・・・というところは共通だが、害はない。
そして、この本の知識の背景を知らない人には、
ピュアに有効だとは思う。

骨のある良い本が読みたいなー。

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7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。

ブラック・クランズマン

『ブラック・クランズマン』

『グリーンブック』のアカデミー賞受賞の
瞬間に席を立ったスパイク・リーの同脚色賞を取った新作で、KKKに潜入する警官コンビの
お話・・・。

グリフィスの『国民の創生』を挿入して、
その罪を糾弾しながらも、黒人側にもある種の神話化の傾向があることもしっかり語っているところがいい。
私たち日本人には、わからないことが多い問題だけど、
あの国が『国民の創生』を作り、ヒットさせた国であることは、
黄色人種としても記憶しておいたほうがいいのだと思う。

スパイク・リー作品としては佳作だけど、久しぶりの彼のリズムは
やっぱりいい。

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8. TAROの迷い言

(TAROの独り言のつづき)

どうも、外でタバコを吸っている赤い髪の若者らしいけど、
よくわからない。
好きな役者なのになー。

思ったよりも細くて頭が小さかった・・・。
見た実感はゼロ。

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