■順法闘争、コンプライアンス、そして、働き方改革
【順法闘争(じゅんぽうとうそう)】
遵法闘争とも書く。
サボタージュの一種で、労働者が法規を遵守することによって業務の正常な運営を阻害し、ストライキと同じ効果をあげようとする争議手段の一つ。
特に日本ではストライキ権を剥奪(はくだつ)されている官公労働者によって積極的に用いられてきた。時間外労働拒否、時間外労働協定の締結拒否、定時出退勤、一斉休暇、保安規定協約条項の厳密な遵守等の方法がある。
旧国鉄の順法闘争は利用者の強い批判を受けた。ストライキやサボタージュと同視評価するか、本来の正しい順法行為と評価するかはしばしば問題となる。
(『百科事典マイペディア』より)
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子どもの頃、「順法闘争」という言葉に違和感を覚えた。
“順法”とは、「法律を守り従うこと」だから、法律を守って従う “闘争”という意味が子どもにはわからなかったのだ。
ところがである。当時の国鉄労働者は考えた。
「一切合切をルール通りにやろー!」
そして、現場での臨機応変な対応や努力を一切やめた。
法律や業務のルールを完全に順守することで、 ダイヤが乱れていくのだから笑える。
彼らは、有効な闘争の手段として「順法」を利用した。
【コンプライアンス】
法律や社会的な通念を守ること。
法令順守と訳されることが多い。
1990年代後半から企業の法律違反に端を発する事件が相次いで発生したことから、企業はより厳密に法律を守るべきという社会的要請が強まっている。
商法や独占禁止法、不正競争防止法など企業活動において直接触れる法律はもちろん、最近では、個人情報保護法や2008年にも適用が見込まれる日本版SOX法(企業改革法)に対して、企業は対応を迫られている。
(『ASCII.jpデジタル用語辞典』より)
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昔の職場の仲間の口から、 「コンプライアンス」という言葉が「悪のおきて」のような意味で 使われ出して、ずいぶん時がたってしまった。
きっと、今も彼らは「コンプライアンス」に 苦しんでいることだろう。
「コンプライアンス」がどのように組織をむしばんでいったかは、 私にはわからない。
一体、どれだけムダな仕事が増えていったのだろうか。
その一端は、大きな企業との書類のやり取りの場面で、垣間見ることができる。
その書類の多さ。そして、どの書類にも自署が要求される。
・・・・・・ バカである。
「コンプライアンス」の目的は、決してズレたものではないと思うが、その運用は大いにズレている。
私は思った。
「国を挙げて、“順法闘争”をはじめたってわけね。」
あれから10年以上たった。
悪魔のたくらみは順調に進んだ。
元国鉄の労働者の亡霊は、事をなした。 日本の企業は弱っていった。
この国では、共産主義が勝利したのだ(革命成就だーーーーぁ!!)。
って思っていたら・・・。
そんなもんじゃ、革命は終わらなかった。
【働き方改革】
2016年8月に閣議決定した安倍政権による経済対策の一つ。
働き方の抜本的な改革を行い、企業文化や社会風土も含めて変えようとするもの。
多様な働き方を可能とするとともに、格差の固定化を回避して中間層の厚みを増し、成長と分配の好循環を図る狙いがあり、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジとされている。具体例として、長時間労働の抑制、副業解禁、朝型勤務などが挙げられる。
(『知恵蔵mini』より)
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政府の中に、昔、革命や闘争に従事した人がどれくらいいるかは 知らない。どうやって、執行部を洗脳したのかも知らない。
もちろん、革命家なのではなく、ただのバカなのかもしれない。
とにかく、「働き方改革」はある。
この国は、国を挙げて「順法闘争」を行っているだけではなく、 「効率化」の名の下に、規範そのもののぶち壊しに突入した。
「効率」とは、本来、「仕事ができる」を意味した。
つまり、「競争力」の源泉だ。
若い時に、時間を気にしないでがむしゃらに働く・・・ということをしないで、効率なんて手に入るわけがないのだ。
ところが、いつの間にか「効率」は「IT化」と置き換えられた。
「IT化」による効率化はしなくてはならないが、 「競争力」とは関係ない。
「IT化」なんて当たり前。 みんなが導入すれば、みーーーんな同じ。
従って、「IT化」をもって効率化とするならば、それは競争力の放棄と言っていい。もちろん、成長力も放棄していることになる。
これにて、ロマノフ朝は滅びた。レーニンの亡霊の勝利である。
同時に、国も壊れた。あとは、独裁者の登場を待つだけだ。
そして、私たちは、そんな景色を横目に、競争力をつけるだけだ。
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