2019年8月6日第733号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. 理想はハイジのおじいさん
    ・・・病気
  3. まーけ塾レポート
    ・・・【第一週】今月の『まーけ塾』を俯瞰する(目次)
  4. Q&A
    ・・・USJの戦略
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『カール・ポパー』 
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『龍一語彙二〇一一年 ー 二〇一七年 』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『アメリカン・アニマルズ』
  8. TAROの迷い言
  9. プレゼントコーナー
1. TAROの独り言

会社にあったチョコをつまみ食いしたら、ちょっと舌がしびれた。
「もしや、青酸カリ?」
と、のんきなことを思った(本人は、真面目よ!)。

(TAROの迷い言へ続く)

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2. 理想はハイジのおじいさん

■病気

柳生新陰流では、心には三つの病気があるとしている。

・相手に対する恐れ
・攻撃したいという焦り
・防ぎたいという受け身の心

これは中小企業の経営者も全く同じだ。
ただし、個人差はある。誰もがその三つを患っているけれど、
個人的な強弱(クセ)がある。
攻撃したいという焦りが特に強い人もいれば、
防ぎたい心の欲求が優先する人もいる。
また、時期によっても出方は違う。

柳生新陰流では、この三つの病をなくし、平常心で過ごせるように
精神的な鍛錬をしなさい・・・と簡単に言い切ってしまう。
しかし、武術の世界でも経営でも、簡単なことではない。
病は、出自から育まれる性格と言うことができる。
だから、その病の源を攻めるのが手っ取り早い、
ということが多いけれど、それで全てが収まるということでもない。ぶっちゃけ、ずっとその病と付き合う覚悟を持つ以外に方法がないと言えるだろう。

ところで、柳生新陰流に中途半端な知識でモノを申すのも何だが、
この三つの病はレイヤーが違うと思う。
まず、「相手に対する恐れ」があって、「攻撃」と「防衛」がある。
「相手に対する恐れ」が<大きな要因>で、
「攻撃」と「防衛」は<現象>。

だから、「病と付き合う覚悟」とは「恐れ」と共にある覚悟・・・と言うことができると思う。
怖いけどさー、人生はそんなものよ!・・・・ということを、
どこまで開き直って思えるかというところが勝負どころとなる。

柳生新陰流が「攻撃する心」と「守る心」にも焦点を当てるのは、
方便だと思う。
根本治療は難しい。そもそもわかりづらい。
そこで、「攻撃する心」「守る心」に客観的に気付いていくことからアプローチをしていくことになる・・・・と私は思う。
(柳生新陰流さん、生意気言ってごめんなさい)

ちなみに、中小企業経営者には、もう一つ大きな病がある。

・目立ちたい心

「威張りたい心」とか「褒められたい心」などと表現しても
いいだろう。とにかく、厄介な病である。
この「目立ちたい心」が、「攻撃」として表現されることも多い。

おそらく、武術でも同様だとは思う。
「目立ちたい心」は、「相手に対する恐れ」と同等に
ご法度のはずだ。
そこをごちゃごちゃ言わないで、三つに絞り切っちゃうのはセンスだと思う。

・・・・・と、ここまで柳生新陰流の言う「病」を軸にして
書いてきてみたが、これも方便だ。
私が書きたいことは、「心の表れ」に尽きる。

人が何かをやろうとするとき、心が表れる。
柳生新陰流に限らず、武道では、その心の表れに注目する。
柳生新陰流では、

・相手に対する恐れ
・攻撃したいという焦り
・防ぎたいという受け身の心

の三つを心の病と書いたが、そこはどうでもいい。
(再度、柳生新陰流さん、ごめんなさい!)
要は、心の表れにフォーカスする態度である。

遊びでやっているおやじバンドの昨年のライブは、
たくさんの方々に来ていただいた。
会場は満席になり、大変盛り上がってもいただけた。
下手っぴのアマチュアのステージとしては、ちょっとやり過ぎだった(ごめんなさい←今回は謝ってばかりいる感じ・・・)。

でも、やり過ぎた時というのは、心がよく表れるものである。
そこが実に面白い。
自分の中で起こる心の表ればかりではない。
一緒にやる仲間の心も動く。
それが実に姑息な感じで、
そして、その姑息さは自分の中にもそれ以上にあったりするから、
自分を見つめる上での貴重な体験になる。

結局、柳生新陰流が推奨する平常心というのは、
ある種の悟りのようなものである。
つまり、
私たち一般人の常に揺れている心の逆さまが、平常心であり、
それは悟りと言ってもいいだろう。

これが、私が昔発見したことである。
私の言いたいこと、わかりますか?
もう一回言います。
「私たち一般人の常に揺れている心の逆さまが、平常心であり、
それは悟りと言ってもいいだろう」

英語の先生である外国人のおっちゃんに聞かれたことがある。
「おまえは、座禅をどうしてやめたのか?」

私は答えた。
「I can't explain it in English」

そこで、今、私はこの原稿を書いている。
私が発見したことを別の角度から言おう。

悟りなんて目指しちゃいけない。
こんなことを、師匠である和尚に聞かれたら破門ものかもしれないが、そうである。
そして、今はやりのマインドフルネスなんて、もっといけない。

要は、心の表れに気付くだけでいいのだ。
情けない自分に気付く。
これを「自分を知る」という。
これをもって、ある種の悟りと考えても、それほど間違っていない。

私たちは人間である。
神ではない。
超人でもない。
天才でもない。

だから、彼らのマネはいけない(自分が天才だと思うならどうぞ)。
そもそも、そんなものは必要ではない。
ただ、心の表れに気付く。
これでいいのだ。

病とは、そもそもそういうものでしょ(例:風邪)。

 

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3. まーけ塾レポート

【第一週】今月の『まーけ塾』を俯瞰する(目次)

(1)どういう訳か
『日経ビジネス』は俺にすり寄ってきたよ②

  1. 「新規事業という病」という特集記事
  2. 「持たざる経営」という特集記事
  3. ついでに、坪内さんのお話 

(2)好調企業で考える

  1. 復活のソニー
  2. 破竹のワークマン
  3. セミナーでも褒めたけど、セコマってビューティフル
  4. パルコのすり足
  5. ゆで太郎の手堅さ
  6. 失礼しました!ビッグエー
  7. カップご飯シリーズの慧眼
  8. アプリで社食

(3)市場をアホ化する奴らの凄み

  1. 改めて、ヒカキンのカット割りを考える
  2. ヒカキンからチャット小説を眺める

(4)最近のトレンド

  1. コーヒーのワイン化
  2. 吉野家の「超特盛」
  3. ベビーフード市場
  4. レンタルなんもしない人
  5. キャッシュレス銭湯
  6. 傘シェアリング
  7. ベルトラ
  8. モスのセルフレジ?
  9. ドローン配送の模索
  10. 新しいプッシュカーゴビジネス

(5)左前の確認

  1. 特産品
  2. 青山の失敗とアメリカン・イーグルの再スタート
  3. 台湾ITブランド
  4. ビックカメラ
  5. 高島屋上海店

(6)経済・金融

  1. リース取引の税務の扱いを確認する
  2. 2020年の混乱
  3. 気候変動という変数
  4. ペプチドリームとか・・・
  5. 本当に、インデックスで良いのか・・・
  6. ビットコインいろいろ
  7. 地銀の苦しいお話
  8. 楽天をバカにする
  9. ベトナムに追い風?
  10. 銅のお話
  11. 工作機械はたそがれた・・・

(7)その他雑談

  • まずは、わざわざ昨年の記事を持ってきて、偉そうにしているRIZAP瀬戸氏に対する毒舌を吐き

    もういい加減やめておけばいいのに、いろいろとネタが尽きない人なもので・・・
  • アイアコッカの死去をネタに、彼とカルロス・ゴーンがマンマ同じ・・・という話をし
  • モーツァルトの旅好きを考え
  • ジョアン・ジルベルトの死を悲しみ
  • スシローと元気寿司・・・というか神明について好きなことを言い
  • 消費者余剰について考えたりしました・・・・・・

 

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4. Q&A

Q.

いつもメルマガありがとうございます。

前回の戦略セミナー2020の文脈から言うと、USJの復活劇で
森岡 毅さんがやったのはどういう戦略だったのでしょうか。

私が思ったのは、同一テーマというディズニーの戦略に
皆が引っ張られる中で、数字を見ながら「USJ」というある意味
何でもありのような新しいカテゴリーを作った。

岡本先生が、
皆が同じ方向に行くと「いち抜けた!」とそこから出ていくように、そういう競合他社とは違う活動が競争優位を作ったということなのかなと思いました。

下手にポーターを学んだ者だと、ハリウッド映画にフォーカス戦略とか行きそうなところですが、ここらへんの微妙な見極めができるところが森岡さんのすごさなのかなと思いました。

どうぞよろしくお願いします。

A.

ご質問ありがとうございます。

申し訳ありません。
USJのことは、よく知りません。
森岡さんの本は一冊読みましたが、全く記憶にありません。
わずかな記憶では、ある一点については非常に同意したのですが、
それ以外についてはどうも現実との接点に微妙さを感じました。
本を読みながら、気分はカール・ポパーでしたね(笑)

さて、ご質問の件ですが、USJのようなビジネスは、
現在の売上だけでは何も言えません。
もちろん、最初からダメなら話になりませんし、ビジネスの性質が、べき分布に従うハリウッド的要素が強いので(ポアソンではない)、スタートダッシュのプロモーションは悪弊とはいえ、
避けられません。

そして、そういったビジネスですから、マス市場のビジネス、
すなわちフォーカス戦略が最初から取れないビジネスです。
あえて、ポーターのジェネリックで説明しようとすれば、
差別化戦略になりますが、ポーターという道具立てだけで
説明するようなものでもありません。

あらゆる戦略論は、便宜です。
その便宜を承知の上で、使えるところは使う。
使わないところは使わない。
私のセミナーの意図は、「モノの見方」です。ポーターを強調したので、ポーター礼賛に聞こえたかもしれませんが、一番言いたいのは「ポーターって意外に使える」ということと、ポーターを押さえると、各ビジネスの各時期におけるやってはいけないことが見えてくることです。

また、5Forcesをじっくりやることで(丸一日とか)、面白いものが見えてきたりしますので、ポーターの実用性も強調したいところでした(ただし、その実用性については、セミナーでは説明しきれていませんが・・・)。

・・・と、文字で書いていたら限界があるので、
こんなところでとどめておきます。
毎度言っていることでありますが、補助線は便利ですが、
一つの補助線にこだわるのはつまらぬことです。
要は、観えればいいことです。
私たちのやっていることは、実務でうまくやることが全てです。
補助線も、その原則の中で使っていけばいいと思っています。

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5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉

誤った科学観は、
ただしくありたいという熱望のうちにその本性を現す。

カール・ポパー

同様の理由で、日本の多くのサラリーマンは死に、
だから大企業も死に、芸能界もつまらなくなり、
最初から公務員は死んでいる。



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6. 砂漠の中から本を探す

龍一語彙 二〇一一年 ‐ 二〇一七年

龍一語彙二〇一一年 ー 二〇一七年
坂本龍一 (著)
角川書店

これはヤバイ。
ずっと本棚にあったけど、もっと早く読めばよかった(坂本龍一も、この本でマーラーについて似たようなことを言っているかな?)。
ただ、この本って、好き者だけの代物の可能性あり。
(よーく考えて買いましょう)。

<一般的語彙>があって、<龍一的語彙>があって、
<語録>がある。

マーラーについて言えば、一般的な解説があって、<龍一的語彙>は「子供の頃から良さがわからず・・・・・・」と書いてあって、
<語録>では、「マーラーの場合は、曲によって演奏家的な気持ちが勝ちすぎる・・・」的なことが書かれている。

全部が面白いわけじゃなくて、どうも無理やり的な掲載もあるけれど、そこが十分許せる(私は・・・)。

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7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。

アメリカン・アニマルズ

『アメリカン・アニマルズ』
ユートピアを求めると地獄に落ちる典型的な
お話で、実話。
ユートピアを求める本人たちは本気。
はたから見たらただのバカ。
しかし、笑ってはいけない。
私たちだって、似たようなもの。
ただ、犯罪レベルのことをやっていないだけで、
新規事業に夢をはせたり、新しいノウハウで一獲千金、かぼちゃ君の
わなにハマったり、FXやビットコインで有り金を失ったりしているのである(←これらも相当バカではあるが・・・)。

編集がいい。
クリント・イーストウッドは本人たちに本人役をやらせてしまったが、この映画のやり口もいい(ある面、テレビのバラエティーみたいだけど・・・)。

おかしな夢を見そうになったら、この映画を見るといいかも?

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8. TAROの迷い言

(TAROの独り言のつづき)

あとで聞いたら、唐辛子入りのチョコだったんだそうだ・・・。
あまり心臓に良くないんですけど。


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9. プレゼント

毎月、初回の配信日にプレゼント掲載を行いますので、
ふるってご応募ください。

健全な肉体に狂気は宿る―生きづらさの正体』

【今月のプレゼント本
健全な肉体に狂気は宿る: ――生きづらさの正体
内田 樹(著)、春日 武彦(著)

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