■病気
柳生新陰流では、心には三つの病気があるとしている。
・相手に対する恐れ
・攻撃したいという焦り
・防ぎたいという受け身の心
これは中小企業の経営者も全く同じだ。
ただし、個人差はある。誰もがその三つを患っているけれど、 個人的な強弱(クセ)がある。
攻撃したいという焦りが特に強い人もいれば、 防ぎたい心の欲求が優先する人もいる。
また、時期によっても出方は違う。
柳生新陰流では、この三つの病をなくし、平常心で過ごせるように 精神的な鍛錬をしなさい・・・と簡単に言い切ってしまう。
しかし、武術の世界でも経営でも、簡単なことではない。
病は、出自から育まれる性格と言うことができる。
だから、その病の源を攻めるのが手っ取り早い、 ということが多いけれど、それで全てが収まるということでもない。ぶっちゃけ、ずっとその病と付き合う覚悟を持つ以外に方法がないと言えるだろう。
ところで、柳生新陰流に中途半端な知識でモノを申すのも何だが、 この三つの病はレイヤーが違うと思う。
まず、「相手に対する恐れ」があって、「攻撃」と「防衛」がある。
「相手に対する恐れ」が<大きな要因>で、 「攻撃」と「防衛」は<現象>。
だから、「病と付き合う覚悟」とは「恐れ」と共にある覚悟・・・と言うことができると思う。
怖いけどさー、人生はそんなものよ!・・・・ということを、 どこまで開き直って思えるかというところが勝負どころとなる。
柳生新陰流が「攻撃する心」と「守る心」にも焦点を当てるのは、 方便だと思う。
根本治療は難しい。そもそもわかりづらい。 そこで、「攻撃する心」「守る心」に客観的に気付いていくことからアプローチをしていくことになる・・・・と私は思う。 (柳生新陰流さん、生意気言ってごめんなさい)
ちなみに、中小企業経営者には、もう一つ大きな病がある。
・目立ちたい心
「威張りたい心」とか「褒められたい心」などと表現しても いいだろう。とにかく、厄介な病である。
この「目立ちたい心」が、「攻撃」として表現されることも多い。
おそらく、武術でも同様だとは思う。
「目立ちたい心」は、「相手に対する恐れ」と同等に ご法度のはずだ。
そこをごちゃごちゃ言わないで、三つに絞り切っちゃうのはセンスだと思う。
・・・・・と、ここまで柳生新陰流の言う「病」を軸にして 書いてきてみたが、これも方便だ。
私が書きたいことは、「心の表れ」に尽きる。
人が何かをやろうとするとき、心が表れる。
柳生新陰流に限らず、武道では、その心の表れに注目する。
柳生新陰流では、
・相手に対する恐れ
・攻撃したいという焦り
・防ぎたいという受け身の心
の三つを心の病と書いたが、そこはどうでもいい。 (再度、柳生新陰流さん、ごめんなさい!)
要は、心の表れにフォーカスする態度である。
遊びでやっているおやじバンドの昨年のライブは、 たくさんの方々に来ていただいた。
会場は満席になり、大変盛り上がってもいただけた。
下手っぴのアマチュアのステージとしては、ちょっとやり過ぎだった(ごめんなさい←今回は謝ってばかりいる感じ・・・)。
でも、やり過ぎた時というのは、心がよく表れるものである。
そこが実に面白い。
自分の中で起こる心の表ればかりではない。
一緒にやる仲間の心も動く。
それが実に姑息な感じで、 そして、その姑息さは自分の中にもそれ以上にあったりするから、 自分を見つめる上での貴重な体験になる。
結局、柳生新陰流が推奨する平常心というのは、 ある種の悟りのようなものである。
つまり、 私たち一般人の常に揺れている心の逆さまが、平常心であり、 それは悟りと言ってもいいだろう。
これが、私が昔発見したことである。
私の言いたいこと、わかりますか?
もう一回言います。
「私たち一般人の常に揺れている心の逆さまが、平常心であり、 それは悟りと言ってもいいだろう」
英語の先生である外国人のおっちゃんに聞かれたことがある。
「おまえは、座禅をどうしてやめたのか?」
私は答えた。
「I can't explain it in English」
そこで、今、私はこの原稿を書いている。
私が発見したことを別の角度から言おう。
悟りなんて目指しちゃいけない。
こんなことを、師匠である和尚に聞かれたら破門ものかもしれないが、そうである。
そして、今はやりのマインドフルネスなんて、もっといけない。
要は、心の表れに気付くだけでいいのだ。
情けない自分に気付く。
これを「自分を知る」という。
これをもって、ある種の悟りと考えても、それほど間違っていない。
私たちは人間である。
神ではない。
超人でもない。
天才でもない。
だから、彼らのマネはいけない(自分が天才だと思うならどうぞ)。
そもそも、そんなものは必要ではない。
ただ、心の表れに気付く。
これでいいのだ。
病とは、そもそもそういうものでしょ(例:風邪)。
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