2019年12月17日 第752号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. どうして、こんなに予言的?
    ・・・リベンジという指向性
  3. まーけ塾レポート
    ・・・【第三週】首都の水没を数年前から指摘していたので総括
  4. Q&A
    ・・・2019年に読んだ本ベスト3
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『アリストテレス』
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『人喰い』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『第三夫人と髪飾り』『ボーダー 二つの世界』
  8. TAROの迷い言
1. TAROの独り言

(先週の続き)

「惜しい・・・」と言われた息子(演出&出演)はしつこい。
しつこく食い下がってくるが、
「惜しい理由を話していたら、日が暮れる」と言ってごまかす。

(TAROの迷い言へ続く)

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2.どうして、こんなに予言的?

リベンジという指向性


大坂なおみの優勝に感動して、テニスをはじめた・・という人が
たくさんいるらしい。
テニススクール業界には朗報だが、こういう行動がよく分からない。

テニス業界は、バブルが続いている(らしい)。
最近は、だいぶ落ち着いてきたみたいだが、錦織圭のベスト8進出をきっかけにブームが続いていて、テニス人口は順調に増えているのだそうだ・・・・・。

んーーー、謎だ。

そんな謎の気分でいた私に、『大阪的』(井上章一)がある事実を
教えてくれた。

『101回目のプロポーズ』というテレビドラマのヒロイン(浅野温子)はチェロ奏者で、3年前に亡くなった恋人(ピアニスト)を忘れられないでいる。

そのヒロインに、主人公(武田鉄矢)が猛然とアタック。
彼女に気に入られようとピアノの練習を開始。
そして、彼女の元恋人がよく弾いたというショパンのエチュードを
披露。ヒロインは心を揺さぶられ、二人は結ばれる・・・・という
お話らしい(ずいぶんはやったらしいが、私は知らない)。

このドラマが放映された1991年。ドラマを見た中年男の中に、
ピアノをはじめた人がいたらしい。『大阪的』では、ピアノ教室に「洪水のように中年男がおしよせた」とある。

もちろん、「みんなショパンのエチュードをやりたいって言って」、押し寄せたのだそうだ。

んーーー、分からない。
その1991年にピアノをはじめた中年男のどれくらいが、
今もピアノを続けているのだろうか?
錦織圭や大坂なおみでテニスをはじめた人たちは、
今日も元気に素振りをしているものだろうか?

ところで・・・・・。
わが家の子どもたちの中学・高校時代の部活も、
似たようなニオイがある。

・長女が卓球とオーケストラ
・次女が卓球とバンド
・長男は野球三昧

映画 『ピンポン』(松本大洋原作)、テレビドラマ『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子)、アニメ『けいおん!』(かきふらい)、
アニメ『メジャー』(満田拓也)の影響は明らかだ。

でも、子どもは分かる。
まだあんまり世の中を知らないのだから、そんなものだろう。
私の子ども時代も、『巨人の星』で多くの男の子が野球をやっていたように記憶する。
『燃えよドラゴン』でヌンチャクがはやり、『日本沈没』や
『ノストラダムスの大予言』を恐れたものである。

そこで、「待てよ・・」と思う。
こんなことを書いている私は、テニスやピアノをはじめた人を
さげすんでいる。「信じられなーーーい」と思っている。

しかし、自分はどうなのか?

私は、42歳の時に、デローザというイタリアの自転車を
買っている。
金額は、なんと120万円!!
その原点は、中学3年生の時に見た『サイクルスポーツ』の記事。
記事は、チネリやコルナゴ、デローザに乗る親子を特集したもので、私はそれがうらやましくて、うらやましくて仕方がなかった。

私がデローザを買った行動に、自分の意思はない。
もちろん、自分が決めたのだけど、どこまで自分が決めたかは
分からない。
あえて言えば、“反応”である。28年越しの“反応”だ。

ただし、その“反応”、誰もができるものではない。
チャリンコごときに、120万円も出す執念と経済的余裕がなくてはならない。

私が40代以降にやっていることは、そういうことだ。
ほとんどが、子ども時代のリベンジである。

おそらく、テニスやピアノをはじめた人たちも一緒。
過去に遠因があって、それが大坂なおみや武田鉄矢が
トリガーになって発火。
そして、「なんだ、経済的な余裕があるじゃないかー」と
気付き、“反応”する。

皮肉なことに、若い頃にデローザを手に入れていれば、私はボロボロになるまで乗ったと思う。
しかし今、私のデローザは、わが家の玄関の飾り物と化している。

“Unfinished Business(未完結なわだかまり)”を解消した結果は、そんなものだ。
そして、私はそれでいいと思っている。
おそらく、ピアノおじさんも、テニス女も似たようなことに
なっていることだろう。

私は、お客さまである便利屋に、便利屋カタログを作ることを
提案している。
そのカタログの1ページ目には、「初恋の人に、手紙を届ける」とか「昔の彼女を探し出して、連絡を取る」系のものを載せようとも
言っている。

そして、そのカタログの数ページは、青春時代の“Unfinished Business(未完結なわだかまり)”が並び、後半になってはじめて、お片付け系の一般お手伝いが並ぶという構想だ。

私たちが消費しているもの、そして、これから消費するものは、
煎じ詰めれば、そういうものだ。

“自己実現”などではなく、多くは“Unfinished Business(未完結なわだかまり)”。
しかし、それは、“自己実現”なんかより、ずっとすてきだと思う。

・・・・・・・

高校時代、小さな本棚を母から買ってもらった。
その時の喜び。そして、本を並べて、本棚の前にどれだけたたずんでいたことだろうか・・。

今、私は、天井まで届く特注の本棚(昨年、新調)に囲まれて仕事をしている。
自宅の屋根裏も書斎も全て本棚だ。

新調の本棚が全部埋まるまで、私は仕事を続ける。
でも、その後は分からない。
おそらく、私が仕事をしている・・・というのは、
そういうことなのだと思う。

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3. まーけ塾レポート

【第三週】首都の水没を数年前から指摘していたので総括

矢沢永吉のドームコンサートの中止を横目に、
当社は、秋のセミナーを無事終了しました。
その分、11月は地獄の忙しさでしたが、
当社では4年前から今の状況を想定し、
少しずつセミナーの開催を11月に移動。今に至っています。

おそらく、4年前の『VIPミーティング』で、
私が、今のような状況になるということを話した時、
本気で受け取らなかった方もいると思います。

私は、ドン・キホーテと言われようが、お構いなしです。
20年前に建てた家は、こうしたことを想定し、
森に囲まれた高台に建っています。
そして、東京の事務所もマンションも、高台の中腹にあります。

ついでに、不動産投資(一棟買い)のお客さまにも、
全て高所の物件をお勧めしてきました。

台風19号は、私たちにとって、運の良い台風でした。
もし、上陸場所がもう少しズレていたら、
もし、上陸角度がもう少しズレていたら、
もし、八ッ場ダムが・・・・・・・・・・・

とても運が良かったのです。

そして、日本全国で被害に遭った場所は、どこもお約束の場所。
知っている人なら、家なんて建てるわけのない場所ばかりです。

全ての問題は、無知にある。
そう言い切っていいと思います。

さて、これから、世界の気象はもっと悪化すると言われています。
そして、日本の河川(特に地方)は、
対策が追い付くことはありません。

次は、いつ関東を台風が襲うかは分かりませんが、忘れた頃に、
まずい上陸をする・・という想定でいるべきなんでしょうね。

日本中が、9、10月のイベントを避けるようになるのは、
何年後でしょうかね(笑)。

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4. Q&A

Q.

メルマガ楽しく拝見しています。

岡本先生が、2019年に読んだ本の中から、
おススメベスト3を教えてください!

A.

ご質問ありがとうございます。

本のベストって難しいんですよ。
結局、興味の在りかで、評価が変わるじゃないですか。

私が今超ハマっている本は『ギター・アンプの真実』ですが、
これは一般的にオススメ不可能です。
今年のベスト10は間違いない本なんですけどね・・。

それで、ちょっと考えてみたんですけど、一般的な本に関しては、
ベスト3はないですね(笑)。
そういう面では、つまらない年だったと思います。
で、ベスト4は、このメルマでご紹介する『人喰い』ですかね。
でも、この本も、読者を選んじゃうかも?

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5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉

全体は、各部の合計以上のものである

(アリストテレス)

アリストテレスの言葉に代表されるシステム概念を
わが人生に当てはめれば、私の時間(人生)の合計も
各時間以上・・・って言ってもいいかな?
拡大解釈じゃないよね・・・・・・。


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6. 砂漠の中から本を探す

『人喰い』

人喰い
カール・ホフマン(著)
亜紀書房


この本には、最後に奥野克巳という人の解説がある。
この解説の書き出しがうれしい。
私も、若い時に、
極限の民族』にかなり感化された一人だから・・。
そして、そういう人は少なくないのではないかと思う。

若きロックフェラー財閥の御曹司が、
ニューギニアの少数民族に興味を持ったのも、
具体的な対象は違うが似たようなシチュエーションだ。
そして、彼は、異文化との遭遇を実際に行う。

人を殺して食べることが、日常生活として取り込まれている文化。
そこで、彼は、最も究極的な形で、異文化との遭遇を果たす。

その過程を追った著者の仕事は、社会学者のフィールドワークと
何も変わらない。
レポートの結論は見えていても、その仕事ぶりに驚がくすることが
ある。
この本は、そういう本だ。

久しぶりに『ニューギニア高地人』を読みたくなった。

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7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。

第三夫人と髪飾り

ベトナム映画の質の高さには毎度驚くけれど、またまたとんでもない監督が現れた。
スパイク・リーも絶賛の
アッシュ・メイフェア。

一切言葉を廃した10分程のオープニング。
そして、その後も極力言葉を限定し、ベトナムの一族を描いていく。

舟が、川を上ってはじまり、下って終わりを迎えるお話。
そのラストが素晴らしい。

こうした詩的な映像は、何が言いたいのか分からないままに映画館を後にする人も多いと思われるが、映像のヒントをつなぎ合わせれば、それほど難解ではない。

監督が、親切にも軸として提示してくれるのは、蚕。
そして、馬の死や鶏の屠殺シーンがそれを補う。
流産する人、出産する人。
イニシエーションに失敗する人、全うした人。
性を生きる人、嫌悪する人。
運命を生きる人、拒絶する人。
生き抜く人、存在できない人。
・・・・・・・・
小さな村の小さな一族を舞台装置に、
生命そのものを美しい映像で描き切った約90分。


■ボーダー 二つの世界

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ダーク・ファンタジーの新しい試みだ。
ある面、トロールのお話でしかないのだけど、設定がうまくできていてタイトルどおりの
テーマが浮かび上がる。
いろんな伏線も楽しいが、
犬がちょっとかわいそうかも。
人間側だから仕方がないか・・。

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8. TAROの迷い言

(TAROの独り言のつづき)

それでも、聞いてくるので、3点ほど教えてあげる。
指摘に納得したようなので、
「まだまだ、甘いーーー」と手柄を取ったように言ってやった。

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