有料メールマガジン『週刊 岡本吏郎』

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将来は今より良くなっていく?

A.
岡本様

独立・起業した時とほぼ同時期に「会社にお金が残らない本当の理由」を偶然手にして以来、 様々な場面で岡本様の意見と自分の意見を照らし合わせ、参考にさせていただいております。

ただ、一点だけずっと引っかかっている疑問があります。
岡本様は、以前著書か、何らかの機会(すいません)に 「皆が今日より明日を良くしようとしているのだから、将来は今より良くなっていく」という事を仰っておられました。

その当時よりここだけは私自身「そうかな?」と生意気ではありますが疑問視しています。(今でもそうです)
岡本様は本当に今でもそうお考えでしょうか。

私は、飲食業ということもあり多くの一般消費者とアルバイトと接する機会が多いですが年々、「人としての質」の ようなものが低下しているように感じます。 「今日より明日を良くしよう」と考えている人達とは思えませんし、 アルバイトにしてもこの数年単位でさえ、礼儀や勤務に対しての意識が低下しています。 今のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

Q.
ご質問ありがとうございます。

さて、「皆が今日より明日を良くしようとしているのだから、将来は今より良くなっていく」という話ですが、どういう文脈の中で話したり書いたりしたか忘れているので、Hさんが聞いた文脈とは離れて回答します。ご容赦ください。

Hさんがおっしゃるように“皆”というのはちょっとひっかかりますね。
私は“皆”とは思っていません。それは今の時代だけではなく、いつの時代もそうでしょう。いつでも“みんな”というのはないと思います(ですから、発言時の“皆”は限定した“皆”のつもりだったと思います)。

ただし、現在のような“自己愛型社会”では、この“みんな”が危ない存在でしょう。
さらに、この自己愛型社会が生んだ“自己愛”は、未来にループしていきます。この“自己愛のループ”は、次の世代に今までよりも大きな問題を出現させることでしょう。

しかし、そうは思っていますが、時代感としては、「将来は今より良くなっていく」と思います。これは、「そうなる」という予測とか予感ではなく、イデオロギーに近いですけどね・・・。

ですから、“自己愛ループ社会”というのも、時代が良くなっていく前触れだと思っています。
時代は、極から極へとかわりますから、どうしても極端な“自己愛型社会”を一度経験しておかないと良い時代はやってこないのではないでしょうか。

残念ながら、世の中に目立つ「明日を良くしよう」という動きもほとんどが“自己愛”の裏返し。ボランティアな人ほど“自己愛”が強いのが現実です。
こうした偽ボランティアもぜーんぶ一度経験した後。そこが楽しみなんです。

問題は、私たちが生きている間には、今の状況のままの可能性が高いことです。
戦後の“自己愛型社会”は、はじまってから35年くらいです。
時代は早くなっていますが、終了までには後35年はかかるかも?

でも、「将来は今より良くなっていく」というイデオロギーなしでは人間は生きられませんよね。
40代後半に入った私は、最近老後の心配をしはじめていますけど、それは後ろ向きな心配ではありません。「いかに老後を楽しく過ごすか?」という心配です。
そういう心配じゃなければ、人生暗くなってしまいますもんね・・。

ウダウダ書いたのでまとめましょう。
マクロ的に考えて、私は「将来は今より良くなっていく」と思っています。
また、個人的にも「将来は今より良くなっていく」と思って生きるようにしています。

そして、先進国の人々は、現在起きている“自己愛ループ”を脱出していくと思います。確かに、バイト君たちは、ループの呪縛にある存在です。でも、この構造がわかるだけで解決する部分もあります。
これは、同族会社の兄弟抗争や若者の自殺問題、いろいろな家庭問題もそうだと思います。 そういう点で、今は、指導者が育つ最高の環境下もしれませんね。

それと、ループの中にいない若者もいる事を見逃してはいけません(昔も同様に、ループの中の人と外の人がいました)。彼らは、人類の歴史上の知恵の集積を簡単に手にし、それを利用する存在になっていくのではないでしょうか?

どう考えても、彼らは私たち世代よりも凄い立ち位置にあると思います。
団塊の世代は学んだ知恵を社会の中でほとんど利用できなかった世代でした(かわいそうに・・)。
そして、団塊の世代よりもおバカな私たち世代(断層?エイティーズ(?))は、バカなりに知恵と社会がマッチする時代を享受してる最中です。
次の世代は、その私たち世代の試行錯誤を傍目で見ている最中。んー、うらやましい・・。
でも、私の世代(新人類世代)も、団塊、断層の諸先輩方のやり様を学ばせていただいた世代ですからね・・。世の中ってよくできているなーぁと思います。

ですから、私は下の世代を信頼し、自分のことも信頼していこうと思います。
それに、あんまり大上段に構える必要はないかも?
だって、小さな周辺の世界しか自分が直接かかわれる所はないんですから・・。
「そこだけでも・・」という功利主義が、人類の最大幸福につながる・・というベンサムの考えは好きですね。

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