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『ラスト・コーション』

歴史が人を翻弄する。そうしたドラマは、映画のいくつかの軸の一つ。
この『ラスト・コーション』もそうした人物たちの物語。

ただし、この物語の主人公は翻弄された流れの中で自らの意思を出す、最後に・・。

どっちにころんだって負けは決まっている。でも、自分で負けを選んだ主人公。
人はいつダブルバインドに陥いるのか?それを考えさせる。
だから、本当に意思決定ができたのは、入り口の一回だけ。本当に、人生って残酷だよな。

その入り口で、彼らは目的を持った瞬間に自らの人生をコントロール不能のものに変換した。
さらに、目的に対して、技術が幼稚な彼らには暴走しかなかった。あさま山荘事件と同じ構造は明らか。
入り口には、いつもダブルバインドの罠が待っている。
これが怖いんだよーぉ。自己実現なんてどう考えてもダブルバインドじゃないかい?

中国映画の艶を前面に、濃厚なベットシーンを絡めて、絵物語は一人の勝者もないままに終わる。
心理学がタイプAに勝者が少ないことを説くことが、こういう映画を見ると実感できる。個人の目的というものが、世間に翻弄されていることでしかないことも実感できる。

答えはない。
でも、自分を「主人公」とした段階で、ノーコントロールになる現実は理解しておくべきだな・・とあらためて感じてしまいました。

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