【ビジネス万有引力の法則】

2003/12/24(水) 05:26

「自伝として読む」

楽しみにしていた「ローマ人の物語」が出た。
最初の頃は毎年9月に出ていたものが、ここ数年は12月まで待たされる。
もう、早く読みたくて首を長くしているから、どこにも持って歩く日々。
実は、この本はフォトリーディングでは読まない数冊の本の1冊。
とにかくじっくり読みたい。
したがって、この本を読んでいる間は移動の荷物が減ってうれしい。

今回の第12巻は大好きなトルストイの言葉で始まる。
「幸福な家族はいずれも似ているが、不幸な家族はそれぞれが違う不幸をかかえている」

実は、この言葉は今回の私の本の「はじめに」で最初の1行として使った言葉だ。しかし、センセーショナルな出だしでないと売れないということで、削除した一行でもある。

でも、こんなうれしいことはない。
塩野七生さんとのシンクロである。
削除したとはいえシンクロではないの!!

でも、塩野さんは、このトルストイの言葉を引用しながらも、
「しかし、民族の集合体となる帝国となると、この方程式は通用しなくなる。ローマはローマ的に興隆し、ローマ的に維持され、ローマ的に滅亡していった」
と言っている。

私の幻の「はじめに」では、
「成功企業はすべて個性的だが、失敗する企業はほとんど同じ原因で衰退していく」
と書き始めている。
つまり、塩野七生風に言えば、
「しかし、家庭から離れたビジネスとなると、この方程式は通用しなくなる。ビジネスでは、興隆の要因は様々であり、その維持方法も様々だが、衰退原因はある一定の原因に必ず帰結する」
となる。
そして、今回の本「会社にお金が残らない本当の理由」には、その一部を書いた。

昨日も、ある経営者の若い頃の苦労話を聞いた。
その方の苦労は実家の経営が左前になったことから始まった。
そして、その左前の過程もパターンだった。
もう、絵に描いたようなパターンだった。
自社の専門分野からは関係のない事業に乗り出したり、本業の勝ちパターンが裏目裏目に出始めたり・・・。

こういうパターンは誰もが知っていることだ。
でも、当事者になると、はまってしまう。
それは空気のようなもので、理屈ではわかっていてもやってくるのだ。
空気を感じることは十分できるけど、空気の勢いに負けてしまう。
しかし、そこから逃れる方法はある。

ただ、実は世の中の多くの人が知りたいことは、そういうことではない。
「失敗の法則」など知りたくないのだ。

知りたいのは「成功の法則」。
しかし、「成功の法則」なんてないのだ。
これが事実。

そりゃ、成功者のやり方は参考になる。
でも、参考になるのは、技術的な部分だけなのだ。
間違っても「プラス思考」なんかではない。

だから、成功本は自伝として読むのが正しい。
あれは自伝なのだ。

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