2015年11月17日 第532号

目 次
  1. TAROの独り言
  2. どうして、こんなに予言的?
    ・・・ぱちんとはじけるように起こる
  3. まーけ塾レポート
    ・・・6. ワタミの失敗
  4. Q&A
    ・・・興味のあるもの
  5. しょせん人の言葉  しかし、気になる言葉
    ・・・『ミュージシャンA 年齢不詳『増量・誰も知らない名言集』 リリー・フランキー著より
  6. 砂漠の中から本を探す
    ・・・『「闘争」としてのサービス』
  7. 構造で映画を見る。時々、いいかげんに映画を見る。
    ・・・『草原の実験』
  8. TAROの迷い言
2. どうして、こんなに予言的?

■ぱちんとはじけるように起こる

惨劇はとつぜん
起きる訳ではない

そんなことがある訳がない

それは実は
ゆっくりと徐々に
用意されている
進行している

アホな日常
たいくつな毎日の
さなかに

それはーーーーー

そしてそれは風船が
ぱちんとはじけるように
起こる

ぱちんとはじけるように起こるのだ

(岡崎京子『リバーズ・エッジ』より)

この岡崎京子『リバーズ・エッジ』のラスト前のシーンの言葉を改造した。

幸せなこともとつぜん
起きる訳ではない

そんなことがある訳がない

それは実は
ゆっくりと徐々に
用意されている
進行している

アホな日常
たいくつな毎日の
さなかに

それはーーーーー

そしてそれは風船が
ぱちんとはじけるように
起こる

ぱちんとはじけるように起こるのだ

(岡崎京子『リバーズ・エッジ』の詩を一行目だけ変更)

実は、8月に発売となった『ビジネスパーソンのための易経入門』は、この2つの詩で終わる予定だった。
しかし、「既存の作品の言葉は、改造してはいけません!」という
編集部の指示で、全て削除して、プルーストの言葉に変えた(念のため、引用しておきます)。

発見の旅の本質は、
新たな景色を探し求めるのではなく
新鮮なまなざしを持つことである

(マルセル・プルースト)

プルーストの言葉もいいが、
岡崎京子の「そしてそれは風船がぱちんとはじけるように起こる」という言葉はいい。

私たちは理屈では何とでも言うが、
「ぱちんとはじけるように起こる」という件について、
実はあまりわかっていない。

しかし、すべては「ぱちんとはじけるように起こる」

実は、これは悪いことではない。
「ぱちんとはじける」には時間があって、
その前に回避が可能なものが多いからだ。
そこで、「兆(きざ)しを掴もう」ということを
ビジネスパーソンのための易経入門』では書いたが、
実はそれもいらない。
「ゆっくりと徐々に用意」しているのは自分自身なのだから、
自分で注意すれば済むのだ。

もちろん災害や犯罪のように自分ではコントロールできないものも
あるが、そんなことは言うだけ野暮である。
自分は自分の範囲のことを100%考えていればいい。

つまり、世の中の幸せと不幸せとの別れ道は、これしかない。

さらに、
「ぱちんとはじけるように起こる」ことはもっともっと悪くない。
「幸せなこともとつぜん起きるわけではない」からだ。

そこで、多くの者が準備段階で去る。
これはありがたいことだ。
だから、競争はない。

「ぱちんとはじけるように起こる」ことは、
自分ではどうにもならないのだから、ただ準備をしていればいい。
それだけのことなのに、どうしてそれができない者が多いのか?

最近、私にはできそうにない、ちょいと面倒な速いギターのフレーズをやらなくてはならなくなった。
私のやることは一つ。
そのフレーズをゆっくりとしたスピードで練習すること。
確実に、ゆっくり。ただやる。

私は、本来のスピードでできるようになるのに半年くらいを
みていたが、休みの日に1時間ゆっくりじっくりやっていたら、
翌日には本来のスピードで弾けていた。
とても得した気分になった。
焦らない準備は、いつも豊かな成果を与えてくれるものである。

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