「コンサルを使えば、誰でも成功するのか?」という
質問をする方がいらっしゃいます。
つまらない質問だと思います。
“誰でも”なんてあるわけがありません。
なぜならば、企業の成功に重要なのは、戦略よりも実行力だからです。
世の中には、首をかしげるような戦略でも、実行力で押し切ってしまう例があるくらいです。
そうした成功は、花火のように一瞬で終わってしまいますが、それでも、実行力がなければ、その花火さえ上がりません。
さらに、戦略です。
私にアイデアが浮かび提案することも多いですが、戦略の入り口を考えるのも、やっぱりあなたです。
あなたが入り口を考える。それにコンサルタントがアイデアを加え、仕上げていく。
そして、最後に形にするのも、やっぱりあなたです。
そして、シナリオに基づいて実際に動くのもあなたです。
そこで、管理能力も問われてきます。
管理能力とは、あなたの実行力のほかに、人繰りと金繰りです。
コンサルタントは、実行、人繰り、金繰りについても、アドバイスをします。
アドバイスというのは、ヒントを与えることだけではありません。
むしろ、具体的なアドバイスがほとんどです。
コンサルタントは、その経営者の実行力、性格を見て、設計図を描きます。
実行力のない経営者に、大きな行動を伴う戦略を提案することはできません。
ですから、経営者の力を測り、力に応じてパフォーマンスが最大限になることを考えます。
車ならば、乗り心地がいい方が良いでしょう。
どんな車でも目的地に着くのは同じですから快適が一番です。
しかし、コンサルタントは違います。
コンサルティングも商品ではありますが、ただのお買い物ではありません。
あなたが、地に足がついた長期間の成功を望むならば、乗り心地だけで選んではいけません。
同時に、相性というものもあります。
どんなに優秀な道具だって、「私には合わない」というのはあるでしょう。
そして、コンサルタントも人ですから、同じことを感じます。
はっきり言って、実行力のない経営者、楽ばかりを考えている経営者にはご遠慮いただきたいと思っています。
ですから、安易な考え、例えば、そこらに溢れているノウハウでうまくやってやろーと考えている方は、こちらからお断りです。
私は楽をしようとは思いませんが、良い仕事を、それも楽しく、ヒリヒリするような気分で実行していきたいのです。
大雑把に説明をすれば、コンサルティングとは、そういうものです。
ですから、この文章をお読みになって、「すぐにお電話を」などと言う気はありません。
少し様子を見て、それでも気になるのであれば、『戦略思考ビジネス会議』の入会あたりから考えていただくのが適切と思います。
もしご縁がありましたら、一緒に厳しい時代に向かってまいりましょう。
経営を甘く考えていると、必ず訓練不足になります。
そして、訓練不足の人は、緊急事態が近づくと、気力を失いがちです。
しかし、経営で勝ち続けるために最も必要なものは、ノウハウでも裏技でもありません。
必要なものは、緊急事態に陥らない用心深さ。
そして、経営を通して身についた基礎力を裏付けとする慌てない力です。
したがって、私は、
甘い声で「たった3日で儲かります」とか「誰も知らない裏技があります」というようなことは言いません。
もちろん、そうしたことも知っていますから、一つの戦略の中での位置づけとしてお話しすることはありますが、
そうした対症療法は、あくまでも対症療法としてしか利用しません。
最近は、コンサルタントの方々が、成功事例と称してお客さまの事例を発表することが多いですが、
私はそうしたことは滅多にやりません。
せっかく、お客さまと私というリアリスト同士がせめぎ合って手に入れたアイデアを世間様に出して、
その寿命が縮まるようなことはしたくはありません。
クリステンセンが2004年に書いた論文は次の文章からはじまります。