【最近賞味したもの】

2006/04/22(土) 08:20

『かもめ食堂』

こういう映画は好きだ。
したがって、とっても贔屓目。

ボクの中では、日本映画の基準は、ここら辺にある。
この「ここら辺」の説明は難しいけど。とにかく、ここら辺。

まずは、映画で事件がほぼ起きないのが美しい。
ハリウッド映画のような、映画を見れば事件が起きるというのは嫌いなのだ。
まぁ、「ダイハード」くらいに大げさにやられると、これはこれで開き直り方が好きだけど、基本的にダメな方。

「かもめ食堂」も事件はちょっと起きる。
でも、事件?というくらいに小さい。
こういうのがたまらなく、嵌る。理由なし。体質だけの問題。

次に、主人公達が、無理な上昇思考もなければ、無理な下降思考もないのがよい。
「ただ、いる」というのが好き。
だいたい、最近は現実世界が「無理な上昇思考」と「無理な下降思考」で溢れているから、映画くらいこうでないとね

三つ目に脚本が限りなく説明を省いているのが好き。
「かもめ食堂」は少し説明じみたところがあるけど、基本的には○。
結局、あの人たちは、どうしてあーしてるのかよくわからない。
人生も同じ。何でも「どうして」と聞く人がいるけど、あーいう「どーしてバカ」傾向も最近の弊害。これを、意識的にそぎ落としているのは映画の正しい価値観だと思う。

ところが、この3つを満たした映画は、まず売れない。
世の中は、あいかわらず、ハリウッドライティングこそが王道という軽薄な世界である。

だから、こういう価値のない映画には大きな価値がある。拍手!!!!!!!
無理な上昇思考に冒されて、無理なワクワクや、無理な楽観をしている人は必見。

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