日: 2013年11月29日
【TAROの日記】

2013/11/29(金) 08:29

堤清二の死

人の死には、時代の象徴性がある・・といつも思っている。
だから、有名人の死には、いつも何らかの反応をしている。

昨日の堤清二の死の報道は、中内功の死と同様に、個人的にいろいろな感慨がある。
彼ら二人は、私の大学時代のアイドルだった。
堤清二は、当時、東大で講義もやっていて、潜り込んで聞きに行ったこともある。

二人とも晩年は、失敗者の烙印を押されてしまったが、だからといって、彼らのやってきたことが全てダメだったわけではない。むしろ、残したものは大きい。
特に、堤清二の残したものは、今も多くが元気だ。
グループとしては解体されてしまったが、中には、今でも優良企業とされているものもある。
その姿は、鈴木商店に似ていると思う。

「大衆が驚くほど優れた直感力を持つ」
若き頃、堤清二は思った。
そして、「おいしい生活」という糸井重里のコピーに代表される大衆消費社会の実現に大きく寄与した。
彼は、80年台後半から、脱大衆に方向転換するが、彼が残したものは大衆文化だったと思う。

その彼が死んだ。
それは、大衆文化の死の象徴だと思う。

彼がグループ企業を大きく育成した時期は、大衆音楽で言うとGSからニューロックへの転換、そして、アンダーグランドだったロックが商売になるとレコード会社が気づいた頃だ。さらに、ニューウェーブが出現し、大衆文化に様々なアンダーなものが浸透していった頃だった。

あのイケイケの時代は、もちろん過去でしかないが、大衆消費と大衆文化はさらに縮小化しながら、またGS以前に戻っていく。
中間層の発生、拡大。そして、その崩壊。
最早、直感力に優れた大衆はいない。

「どうも私は日本経済を堕落させ、渋谷の街を汚くしたとしか思えない」
この言葉は、彼が途中で脱大衆へと舵をきった象徴の言葉かもしれない・・。

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