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『戦場のアリア』2006/05/07(日) 05:22
こういう史実が第一次世界大戦時にあったとは驚きだ。
女性オペラ歌手まで戦場にいる異常な部分は映画のための創作のように感じられる(そこも史実ならもっと驚き!!)が、それにしても小さな共感が、あっという間に場を転換してしまう場面は圧巻だ。
戦場で敵と友情をかわしたドイツ、フランス、イギリスの各国兵士。
彼らのその後は辛い。
ロシア戦線に送られたドイツ兵の列車をランボーのようなオジサンが爆破をして彼らを助けることはない。きっと、彼らはロシアで死んだはずだ。
現実とは厳しいものだ。
ただ、映画を見ながら「彼らを助ける何かが起こらないか・・」と思ってしまったボク自身の心理。その心理を客観的に見てみると、「本当の現実」でも、私たちは、そんな都合の良い奇跡を求めてしまう。
そんな、奇跡願望の現代日本人に、最後に厳しい現実を見せつけてくれる冷たさに共感を覚えた。
映画自体は凡庸だ。
傑作ではない。
埋もれていく佳作の一つだろう。
でも、『西部戦線異状なし』や『ボクの村は戦場だった』のような肌感覚を感じる映画だった。
フランス映画だからなのかもしれないが、ラストの現実に、ブレッソンの味を感じたりもした。
史実。
ちょっと泣ける。
共感が場を創造する瞬間のカメラが良い。
現実感の冷たさが○
など、見るても良い要素は多い。
あのオペラ歌手のおねーさんだけが余計にみえたけど、あーいう人がいないと一気に地味になるからな・・・。