日: 2006年10月9日
【最近賞味したもの】

2006/10/09(月) 10:28

『With You』と『雨月物語』

『成功者の告白』が,ミュージカル化で『雨月物語』の構造になった。
それが『With You』ですな・・・。
と強引に思った。

と言うことで、枝葉(枝葉でない!と言われそう・・)を抜くと、原型はずいぶん昔からあります。
しかも、日本人好みの原型・・ときたもんだ。

『雨月物語』が作品として奥行きを深めているのは、「幻想」という道具立てを使ったところ。
「幻想」を追い求めた主人公が、自らの現実をも「幻想」にしてしまう。
その現実であったものが、「幻想」になった時、初めて価値を持ついうラスト10分前。
映像と共に、あそこであの映画は決まった・・。

さて、『With You』。
神田昌典という一人のコンサルタントが、小説を書いちゃって、さらに暴走。こんなミュージカルを作ってしまう・・・・・・。
これは凄いことです。
総合プロデューサーとは言え、全てが自分の想いどおりに言ったわけじゃないだろう。当然、葛藤だらけでしょう。それを越えて、こういうことをやり抜く。この夢の追いかけ方は尊敬に値する。
リアリストであるボクのような人間には、近づけない世界であります。

作品は、神田昌典という人の大衆性が、そのまんま出たような舞台。
でもって、「なるほど、”大衆的”というのは、血肉なんだな・・」と妙に納得してしまった。

別に、カルチュアル・スタディーズのように、大衆性を敵にする必要なんてない。
生まれながらにして、大衆性を備えた人や物があって、そうでないものもある。それだけでしょう。
そして、大衆性ってのは、ないよりあった方がいいに決まってる。

で、ワタクシメのような大衆性と縁のない男は、そこんところがこそばゆかったり、居心地が悪かったりするんだよな・・。
まぁ、『雨月物語』の構造云々を言っているような輩は、最初から相手にしていないわけでありまして、これはちゃんと選択されてるってことですね。
それと、練習を何回か見ているせいで、純粋に観客として楽しむことは、もはや不能でございました。

この作品は、出自が出自だけに作品としてだけ語られることはない。
必ず、「神田昌典が云々・・」がつきまとう。
それも語って、一つの作品ということ。
それは『エヴァンゲリオン』が嚆矢になったのかもしれないし、『ラストワルツ』が嚆矢になったのかもしれない。

そして、更に付け加えるならば、神田昌典は極めてエビちゃん的だ。
その事が生む勘違い。
その勘違いは、きっと次の時代を作る。

神田昌典という人の時代の役目は明らかだ。
そして、その後の者が進むべき方向も明らかだ。
ただし、多くの人は、きっと方向の照準を間違うことだろう。

それは、誰がどうの・・ということではなく、時代の構造なのです。

なんだか、まったくミュージカルを見た感想になってないけど、きっと、そこらじゅうに「感激しました?!!」なんていう風に書かれてるだろうから、書いても仕方ないということで・・。
独断と偏見。個人的なフフフフフという発見。それと、あーあ、見?つけちゃったよメシのネタという気分の独り言でした。

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