『年末年始のごあいさつ』 2011 - 2012

年末のご挨拶(2011年末)

  • 今年は、ドラッカーが流行ったので、
    ドラッカーの引用ではじめましょう。

    ドラッカーは、『産業人の未来』でこう言いました。

    ヒトラーが思いがけず自由に意味を与え、
    失われていた価値を蘇らせた。

    この言葉を、リーマンショック後の社会に当てはめて、私は、信用の重要性が復活したと指摘させてもらいました。
    ドラッカーの言い方に当てはめるとこんな感じでしょうか・・。

    リーマンショックが思いがけず「信用」に意味を与え、
    失われていた価値を蘇らせた。

    では、東日本を襲った大地震後、私たちは、さらにどういう意味を得たのでしょうか?

    それは、誰もが言っている言葉です。

    「新しい時代の幕開け」

    しかし、私たちは、「新しい時代の幕開け」を感じながら、
    具体的な行動は何一つ取っていません。

    私たちは、多くの重要な変化について、すでに知っています。
    例えば、日本の人口は、この1年でも12万人減りました(震災の死者を含まず)。
    そして、この現実について知らない人はいません。
    しかし、行動は何も変わっていません。
    今も、漫然と、そして漠然と売上増を目指して経営を行っています。

    私たちは、あらゆることを知りながら、何となくぼんやりとやり過ごしているのです。
    悪い意味で、「泰然自若」なのです。

    しかしながら、それは仕方のないことだとも思います。
    なぜならば、今は、それでもなんとかなっているのですから・・・。

    そして、問題はここにあります。
    私たちも、今、なんとかなっている。
    だから、頭だけの理解だけで、具体的な行動は起こせないまま今日まで来たのです。

    恐らく、来年または再来年に、そんな私たちに、大きなことが起こると思います。
    それは、東北の震災のように劇的な事件として起こるのではなく、
    ジワジワと私たちの足下を崩していく類のものでしょう。
    それが、すでにはじまっている「収縮する時代」の来年の景色です。

    では、この「収縮する時代」に対して、
    私たちはどう具体的な対処をしなくてはならないのでしょうか?

    それは、今の段階ではよくわかりません。
    ・・・というか、おそらく、いつになってもわからないものなのです。

    しかし、“わからない”ということがわかれば、いくらかの対処は可能のはずです。
    おそらく、そのことが、生きるうえでの最大のコツになる。
    そんな気がしています・・。

    今年も大変お世話になりました。

    また、次の「一年」がはじまります。
    これからはじまる動乱を少し感じながら、覚悟を決めて進んでいきましょう。

    来年もよろしくお願いします。

    2011年12月30日

    岡本吏郎

年始のご挨拶(2012年1月1日)

  • 明けましておめでとうございます。

    年末のご挨拶で、今の時代を

    「収縮する時代」

    と表現させていただきました。
    そして、この「収縮の時代」の最大のコツは、
    “わからない”ということがわかればなんとかなる・・・などと言い放って、
    ご挨拶に代えさせていただきました。
    そもそも、人以外の生物は、無駄な予測や対処なんてしません。
    時々の外部情報の変化に合わせて対応していく。
    そういうものです。
    ですから、私たちが気をつけなくてはならないのは、
    見立てをしてしまう自分に気をつけることです。
    そこで、あらためて浮かぶ言葉は、

    「自由自在」

    です。
    このことが本当に問われる時代がやってくるのだと思うのです。
    夢や目的、過去や事情に固着するのではなく、自由自在に徹する。
    もちろん、それを実行することは大変難しいことです。
    なぜならば、「自由自在」とは、言葉を変えれば、
    「今までを捨てる」ということだからです。
    しかし、事前に、このことを意識していれば、
    きっと的確な時期に捨てるべきものは捨てることができることと思います。
    また、素晴らしい一年がはじまります。

    2012年1月1日

    岡本吏郎