『年末年始のごあいさつ』 2022 - 2023

年末のご挨拶(2022年末)

  • 年末のご挨拶(2022年末)

    僕たちにはこれは全部は理解しえないのだという、
    いわば向こうから差別されているような寂しさがありました

    (黒沢清)

    70年代に、ゴダール映画に遭遇した黒沢清監督。
    映画の神のゴツゴツしたリズムに戸惑う姿が目に浮かびます。

    ・・・・・・・

    コロナ後の新しい世界との遭遇。
    仕事を、生活を、そして人生を・・・続けなければならない私たち。
    穏やかなリズムは、驚くほどにゴツゴツしてきました。

    そもそも世界の全部なんて理解し得ない。
    それは十分に分かっているつもりです。
    世界は、私たちを最初から相手になんかしていない。そのことも承知です。
    やっぱり、「向こうから差別」されている。きっとそうでしょう。

    でも・・。
    世界は、時に優しかった。

    それはもちろんたまたまでしかない。
    それでもたくさんの優しさを与えてくれました。

    世界は僕らに愛と涙を
    絶えまなく与え続けてくれた
    でも、僕らは君の魔法には
    もう夢など持っちゃいない

    さようなら世界夫人よ さあまた
    若くつやつやと身を飾れ
    僕らは君の泣き声と君の笑い声には
    もう飽きた

    『さようなら世界夫人よ』
    ヘルマン・ヘッセ(植村敏夫訳)

    本当に旅立つ時がやってきました。
    もはや、世界はあの優しい世界(神)ではない。

    今年も1年が終わります。
    ありがとうございました。

    2022年12月28日

    岡本吏郎

年始のご挨拶(2023年1月1日)

  • 神が人間に与えてくださった理性(かのうせい)を
    自ら放棄したくない・・・。

    (『チ。―地球の運動について― 第4集』より)

    おそらく、今年は、理性の年です。

    私たちの理性に、世界(神)が今まで以上にほほ笑んでくれる。
    そんな年です。

    だから、考え尽くしましょう。
    そして、可能性を最大限に広げましょう。

    そうすれば、目の前には、たくさんの選択肢が集まります。

    ますます面白い時代がやってきました。
    やっぱり、世界は私たちにほほ笑んでいるのです。
    彼女のほほ笑みは、決して優しくはありません。
    でも、愛と涙を絶えまなく与え続けてくれるはずです・・。

    また1年がはじまります。
    今年もよろしくお願いします。

    2023年1月1日

    岡本吏郎