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微差

最近、ギターのコンディションを機械で計測。そして、メンテナンス。
理想の数値に整える・・・という方法が利用されるようになってきた。
ふるさと納税の返礼品にもなっている。

うちのバンドの一人が、そういうところでメンテナンスをしたことがある。
ベースが戻ってくると絶賛。
元のコンディションは、数値的にかなり悪かったらしく、それが正常になって喜んでいる。

この話は、そそった。
「俺も、出してみよー」と思った。

・・・・・・

今年の春にインターネットでギターを買った。
試し弾きをしないで買うなんてあり得ないのだが、特別なギターが割引・・という文字を見てしまうと、目をつぶってポチってしまう。

そのギター。
悪くなかった。
しかし、コンディションは最悪。
ネックは反っているし、弦さえ新しいものに変えていない。
販売元の良識を疑った(某ミュージシャンのサイトなんだけどね・・)。

そこで、昨年知った隣県の楽器屋に高速で飛ばして行く。
若いスタッフが丁寧に調整してくれた。
ギターは見違えるほど良くなった。
しかし、なにか腑に落ちない・・。

それから半年。
久しぶりに、お世話になっている関西の名人に主要なギターのメンテナンスをお願いした。
そのギターの中には、上述のギターも含まれている。

戻ってきたギターは、どれもずっと弾いていたくなる。
やはり名人は違う・・と思った。
楽器の学校で勉強してメンテナンスを覚えた若者と名人の違いはわからない。
でも、明らかに違う。

私の話を聞いて、前出のベースマンは言った。
「俺も、出してみよー」

あれ、機械がお気に入りではなかったの?

「そりゃ、名人の方が間違いない」
そんな風に、反応したと記憶する。

機械の方が良いという人もいるだろう。
機械で十分という人もいるだろう。
若者の方が良いという人もいるだろう。
若者で十分という人もいるだろう。

でも、「十分」という気分は要注意だ。
どんなものも連鎖するのだから、「十分」ということの連鎖が一番恐ろしいような気がする。

もちろん、「良い」という人に、私が言うことはない。

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七福神めぐり

長野市に、泊りがけで映画を見に行く。
見逃してしまったエリック・ロメール初期作3本を見るのが目的だ。

足早に映画館に向かう。
すると、弁財天を祀る神社を発見。
もう何度も通っている道だけど今まで気づくことはなかった。
軽くおまいりをすると『七福神めぐり』の案内がある。
どうせ、ホテルにチェックインするまで、仕事もできないので、映画を一本見てから『七福神めぐり』をすることにする。

巡っていくと、私の前後にかすかな影。
少ないながらも、同じことをしている人たちがいるらしい。

翌朝。
早く起きて残った2つをまわる。
すると、大きなリュックを背負ったバックパッカー発見。
この人も、同じ目的らしい。
さらに、またひとり・・・・・・・。

人間って笑える。
なにか目的を与えられると、コンプリートしようと動き出す。
そんな人が朝も早くから、意味があるんだかないんだかわからないことを粛々とやっている。

目的なんてなんでもいいのだ・・。
そして、それは意味がなければないほどいいのかもしれない。
不足を埋めるような行為は、目的でも、夢でもない・・と思った。

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倫理観と仕事の能力

映画『アナザーラウンド』は、私にはツマラナイ映画だった。
そもそも予告を見た時から、そそらない。
ところが、映画の評価が高いらしい。
結局、私は怖いもの見たさで行くことにした。

映画が始まって30分。
だいたい、こういうパターンで良かった試しはないんだよなーと怨嗟の叫び。
本来は、ここで映画館を出るべきで、私はそういう選択を躊躇なくする男のはず・・だったのだが、どういうわけか、くだらぬラストシーンまで見ることになってしまった。

しかし、一つだけ面白いシーンがあった。
主人公が生徒に、
「次の3人の誰に投票するか?」
と聞く。

一人目
ポリオの後遺症で障害があり、高血圧症と貧血を患い、他にも深刻な病気を抱えている。目的のためならウソをつき、政治を占星術師に相談する。ちなみに、愛人がいて愛煙家。マティーニが大好き。

二人目
肥満で、選挙に3回落選している。うつ症状に苦しみ、心臓発作を繰り返している。鼻持ちならない男で葉巻を吸いまくる。就寝前に、酒を浴びるように飲む。シャンパンとコニャック、睡眠薬を2錠。

三人目
勲章を受けた英雄で、女性に敬意を払う。動物を愛しタバコは吸わず、酒もめったに飲まない。

・・・・・・・

おそらく、多くの人が、三人目を良いと思うのだろう。
最近の世相ではなおさらだ。
昔は、臨時行政調査会の会長が、インタビューで愛人の存在を話していたものだけど、今では即退任だろう。
今度の一万円札の人なんて、愛人が確か20人くらい?

しかし、仕事の能力と倫理観に相関性があるわけないわけで、この国はどうなってしまうのだろうね。

ちなみに、
一人目は、F・ルーズベルト
二人目は、チャーチル
三人目は、ヒトラー    
です。

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27年ぶり

最近、三合参りを楽しんでいる。
年3回、吉方位とされる神社へお参り。
地図を見ながら、定められた方向の神社を探し、できるかぎり遠くへ行く。

遠くと言っても、しれている。
せいぜい車で30分以内の場所。
でも、地元だけど、知らない場所ばかり。

そこが面白い。
ある種のご近所探検の機会が、三合参りのココロだと思っている。

・・・・・

9月に今年2回目の三合参りに行った。
いろいろ地図を探っていたら、胞姫神社を発見。ここは懐かしい神社である。
27年前、脱サラしたばかりの頃に訪れた。

二人目が生まれる・・というので、営業の帰りに、たまたま見つけた安産の神様。
階段を上がる私に向かって吹き付ける海風が冷たかった。
大きな組織に所属していた自分。それが一人ぼっちになってしまった。これから大丈夫なんだろうか・・と孤独な気分が体中を覆った。

神社でお祈りしたことなんて、すぐに忘れた。
でも、子どもは無事生まれ、2年後には三人目。

27年間に起きたことを反芻。
そのすべてについて感謝し、頭を下げた。

とんでもない27年間だった。
人生とは、豊穣なものなのだ。

当時の孤独感は、なくなってはいない。
なくしてもいけないと思う。

私は一人ではないから、ここまで来た。
大きな依存の中にいる。それは間違いない。

それでも、一人なのだ。

冷たい孤独感は、温かい孤独感に変わっていた。

(追記)
知らない神社を訪れるのもいいけれど、たまには縁のあった神社を訪れるのもいい。
この後、時間的に行けないと言われていた京都の鞍馬寺を訪れることになるが、この時の胞姫神社に訪れたことが縁になったとしか思えない。
この神社は、源義経の嫡男出産伝承が起こりである。

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部族

千葉の鴨川で「部族」を見た。
一般人には、いい年のおじさんたちが、サーフィンをしているだけに見えるが、彼らの生態は、ただの遊びだけでは成立していない。「生き方」なんて言い方は陳腐すぎて使いたくないが、そうとしか言いようがない。

表層に現れるのは、ある種の笑顔。
みんな仲が良くて楽しそうだ。
しかし、その背景には強烈な排他性がある。

その排他性は、鴨川のサーファーたち独特のものではないと思う。
私も若い頃、そんな排他性の中で、趣味を楽しんでいたと思う。
登山なんて、排他性がかなり強烈で、殴り合いというのもあった(サーフィンも同じみたいです)。
音楽なんて、みんなでニコニコしてたけど、その暗黙の排他性はけっこうなものだった。

部族は、価値観が暗黙で共有される。
見えないルールがあり、それが守られてナンボ。
守られない者は、強力に排除される。
でも、部族のメンバーとして迎え入れられれば、中は楽しい世界。
とてもヤンキーチックな生態だ。

私自信は、ヤンキーではない。と思っていた。
ヤンキーとは、まぎゃくな生き物。
ある面、ヤンキー的なものを嫌悪しているところもあった。

でも、鴨川で海で遊んでいるおじさんたちを見て思った。
人間だれもが、生まれながらにしてヤンキーだ。
どんなに知的なことを偉そうに言っていても、幼稚なヤンキー性が常に背後にある。

個人的には、これは大発見だった。
そして、政治家でも識者でも、ヤンキーという補助線で見てみると、俄然面白く見えてくる。
しょせん、猿山・・ということでもあるのだけど。

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