母が入院している。
老人性の疲労骨折のためでリハビリ中だったのが、脱腸の手術をすることになった。
手術の同意書を、妻がサインしようとしたが、「実の息子さんから欲しい」ということで、夕方5時に医者の話を聞くことになる。
そして、約束の5時より前に母のところへ行き、母と話をしながら医者を待つ。
実は、看護婦に、「お呼びするので待っていてください」と言われた時、私は医者は時間通りには来ないと思った。
看護婦の様子からは、それが十分伺えた。
私は、言われた段階で15分という時間を頭の中で設定した。
おそらく、呼ばれない。だから、5時15分になったらこちらから行く。そう決めた。
予定通り15分は過ぎた。
ナースステーションに行き、静かに言った。
「帰りますね」
私のその申し出を聞いて、一人の看護婦が小声で言った。
「委員会だよ・・」
そして、医者に電話を入れた。
「少し待ってください」
と言われたが、
「約束が違います」
と静かに言った。
すると、一人の看護婦が言いはなった。
「急患とかもありますから、時間通りというわけにはいきません」
この一言は、「君の名前は、何というのだ」と反応する場面だ。
しかし、実は、前日に妻から言われていた。
「くれぐれも、何かあっても失礼な態度は取らないように・・」
彼女の予感が当たり、そういう事態になりつつある。
妻に、言われててなければ、おそらく、私は、彼女を追い詰めた。
でも、それができないので、
「そういうことなら、そういうこともある・・と事前に言うのが筋ですね~」
と静かに静かに言った。
本当なら、「ウソだろ。本当は、病院の委員会の方が優先なんでしょ」とか、もう少し押さえて「それなら、5時の段階で、そう言うべきでしょう」なんて言いたいとも思ったけど、止めたおいた。
私は、言えなくて、妻をうらんだ。
それから数分後、医者が飛んできた。
雰囲気は最悪。
ナースステーションは、真っ暗。
医者の説明をさえぎり、同意者にサインをして帰ってきた。
そして、心の中で、おまえらの責任回避の事務手続きに付き合っているのに、さらに信用を落とすマネをするとはどういうことか・・と思った。
この場面に、彼らの全姿が映し出されている。
彼らは、人を大切にしていないのだ。する気もないのだ。
彼らにも事情はあるだろうが、この事実は変わらない。
そんな彼らに託すしかないとは、本当になさけない話だ。
これが日本の医療なのだと理解しつつ、こいつらの世話にならないことを考えねばならないと思った。
この世界もまともな奴は5%なのだろう。
そこにアクセスできない限り、これをガマンするしかない。
医者は若かった。
私にモノを言った看護婦は、年配だった。
こうして、若者は人として堕ちていく。
自分の狭い世界でしか役立たない自己を省みることもなく、堕ちていく。
それは彼の勝手だが、周りに迷惑がかかるという現実。
まー、事故として理解するしかないのだろう。
ちなみに、みなさま、こうしたクレームを言いたい場面はよくわると思います。
基本は、私がやったように「静かに」です。
これは効きますよ。
周辺すべてを飲み込むことは、ギャーギャー騒ぐだけが手ではありません。
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