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プレ「おじさんVS」

目の前には、27才編集者。
ハッピーパラサイト世代である。

彼女とは待ち合わせの時から「変」を感じた。

待ち合わせの常識が根本から違うのだ。

通常、著者との待ち合わせに編集者はかなり気を使う。
まずは、“らしく”待ち合わせ場所でたたずみ、著者の本を片手に持っているものだ。

しかし、彼女は違った。
まったく、そういう風ではないため、人混みのホテルのラウンジで発見不可能。
もしものために、彼女の携帯電話の番号は聞いてあるが、こういうものは“もしもの場合”という前提である・・と私は思っていた。

そして、“らしい”人がいないためボーッとしていると彼女はやってきた。
携帯電話に手をかける人を探していたが、そういう人がいなくて・・などと言っていた。そりゃ、オレ相手には無理だ・・と思った。

感じていた「変」が溶けたのは、彼女がハッピーパラサイト世代だということがわかってからだった。

ある大学教授と20代前半の社会学者らしき若者の本を作ったときに、もの凄い言い合いになったという話がきっかけだった。

年配の大学教授(女性)は、若者の言うこと一つ一つが気に入らないらしく、対談はバトルになっていった。だが、おかげで良い本ができたという。

「へー、実はオレね、秋から“おじさんVS”というラジオ番組を始めるのね。そのコンセプトが“ジェネレーションギャップという最後の消費財”なんだよね。毎回、若者とバトルをやるの」

「その若者って何歳くらいの人ですか?」

「んー、26才から27才より若い人たち」

そこから彼女の旧世代批判がはじまる(どうも、私は入っていないようだ)。
特に団塊ジュニア世代への批判が鋭い。

「あの世代は、世代全体が一つの価値観を持っている傾向があるから、あなたがたには許せないよな・・」

「そうなんですよ」

「ねー筋肉男って嫌いでしょ」

「嫌いです。嫌いです」

「あれはいけないよな・・」

「そう、あれは旧世代的価値観ですよ」

「後、オレ、同世代のブランド男もダメ」

「あー、あれもひどいですよね」

「案外、若いときにおしゃれだった奴が陥るんだよな」

「そうそう」

などと46才おじさんと27才女の子は旧世代的価値観の批判で盛り上がる。

そんな話が続いた後で、彼女が言った。

「でも、私たちの下の世代もわからないんですよ」

「あ、俺たちの子供ね。あれは、こういう奴(私のこと)に育てられてるので手強いと思うよ」

その手強い奴らと価値観をぶつけ合うのが『おじさんVS』という番組。

結局、仕事の話に戻ったので、彼女の「変」の解明にはいたらなかったけれど、彼女の中には旧世代の常識に従うところと、なんとか逆らいたいと思うものが混在しているようだ。

ただ、どうも彼女のバランスは私的には逆である。

仕事のやり方は若者の価値観でやって欲しいけど、待ち合わせとか打ち合わせ時の常識・・・等等はおじさん世代に合わせてほしい。

酒を飲んで打ち合わせをする必要はない。
そんなものは出版界の悪癖だ。
何も、新潟まで出てきてもらう必要もない。
お互いのビジネスなのだから、お互いの都合が合えばいい。

しかし、待ち合わせや打ち合わせの段取りなどなどは、合わせてしまった方が圧倒的に仕事はしやすくなる・・・・

・・・・・・などと思った。

ジェネレーションギャップは、飽和した消費社会の中に残されたオアシスだ。
これを楽しまずに何を楽しむ。

そんなコンセプトの『おじさんVS』は、ラジオ、ポッドキャスティング、映像、そしてメルマガで展開する予定です(挫折したらごめんね)。

とりあえず、第四週は、その『おじさんVS』の裏話を掲載します。

はっきり言って、ラジオとポッドキャスティングと映像はオマケです。
ここに書くことがメインなのよ!

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